エノラートとエノラートがクロスカップリングする合理的戦略

   

Chemoselective Intermolecular Cross-Enolate-Type Coupling of Amides

J. Am. Chem. Soc. 2017139, 16040.
Daniel Kaiser, Christopher J. Teskey , Pauline Adler, and Nuno Maulide

 

難問と思っていてもあっさり解かれてしまう事がある。

有機反応においてプラスとマイナスの反応は比較的達成しやすい。

カルボニル化合物をエノラート(マイナス)にして、求電子剤(プラス)と反応させ、カルボニルのアルファ位の炭素-炭素結合を伸ばしていくの方法は、数多く知られている
アルドール反応、クライゼン縮合、アルキル化、カップリング、、、古典から最新までいろいろな反応が開発されている。

 

しかしながらプラス同士やマイナス同士をくっつけるのは難しい事が多い。

例えば二つの異なるエノラート(マイナス)を酸化的くっつけて、非対称1,4ジカルボニル化合物を得るエノラートのクロスカップリングは簡単ではない。

どうしてもホモダイマー化が避けられないか、基質特異的になってしまう。

図1. エノラートの酸化的カップリング。当然ホモカップリング体もできる。

怪物バランがなぜうまくいくか不思議なような方法でこの問題をある程度上手くやっているけど、一般的な解決とはいえない。(参考文献1、2)

 

シンプルな難問「エノラートのクロスカップリング」をエレガントに解決したのが今回の論文だ!

今回著者らは片方のエノラートを事前に求電子活性種にして、エノラートのカップリング反応をうまくプラスとマイナスの反応に落とし込む事で、この問題を解決した。
すなわちアミドからエノロニウム等価体をあらかじめ発生し、その後求核剤としてリチウムエノラートを反応させ、エノラートのクロスカップリング生成物を得た。

 

反応のアウトラインを見てみよう。

1. 無水トリフラートとハロピリジンによる、よくあるアミドの活性化。ケテニミウムイオンが発生。
2. 発生したケテニミウムに対するルチジンNオキシドの付加。
この活性種がエノロニウム等価体としてふるまう。
3. 求核剤としてエノラートを加えると、1,4ジカルボニル化合物が得られる。

図2. エノロニウム等価体を経由するエノラートのクロスカップリング。

反応のポイント

一度発生して溶液においておける程度に安定なエノロニウムを求電子剤(プラス)として用いる。ここは割と既知みたい。これ最初に見出したGhosez先生はすごいよね!!(参考文献3)
・その結果、エノラートの二量化反応を上手に求電子剤と求核剤の反応に落とし込み、クロスカップリングを実現。
・分子内にケトンやエステルがあってもアミド特異的に反応させる事ができる。

図3. 分子内にケトンがあってもアミドのα位を選択的に修飾できる。いいね

なるほど~!!シンプル&エレガント!!

最近何人かの化学者がこのようなアミド活性化の化学に取り組んでいますが、あんまり馴染みがなかったので勉強なりました。^_^

炭素-炭素結合をわかりやすく繋ぐ、単純にいい反応よね!

 

にしてもアミドと無水トリフラートの反応がバンバン報告されていますね。

数年前ちらっと見たときはここまでやる部分のある化学に見えなかったけど(^_^;)
自分、見る目ないなー(´-`)

この手の反応は今ブルーオーシャンな感じですかね?
多分今後もしばらく様々な求電子剤を試していく水平展開が予想されますが、ここからどうジャンプアップするか、、、
私ではまったく予想がつきません(^_^;)

ルチジンオキシドいじって不斉化か?。。。んー安易ですね。

なんにせよ今後もたのしみです☆

 

参考文献
(1) Phil S. Baran, Michael P. DeMa, Angew. Chem. Int. Ed. 2006, 45, 7083.
(2) Michael P. DeMartino, Ke Chen and Phil S. Baran, J. Am. Chem. Soc. 2008130, 11546.
(3) R. Da Costa, M. Gillard, J. B. Falmagne, L. Ghosez, J. Am. Chem. Soc. 1979101, 4381

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