なぜなかった!?無保護環状アミンのα-C-H官能基化

最新論文紹介

Direct α-C–H bond functionalization of unprotected cyclic amines

Nat. Chem. 2017, ASAP. doi:10.1038/nchem.2871
Weijie Chen, Longle Ma, Anirudra Paul & Daniel Seidel

 

どうやった見つかったの?といいたくなるような反応が毎日のようにされる現在。
そんな中で、なんで今までなかったの?と言いたくなるような反応が稀に報告される。

今回紹介する反応はまさにそれで、パッと見ると1900年代初頭には報告されてそうな反応だ。

 

反応のアウトラインを見てみよう。

リチウムアミドはカルボニル化合物が存在するとヒドリド移動が起きる。
これは既知だ。(図1 A)

有機リチウム種はイミンに求核付加する。
当然既知だ。(図1 B)

これを単純に組み合わせて、リチウムアミドにカルボニル化合物を作用させてイミンを得た後、有機リチウム種を反応させる。
これで無保護環状アミンのα-C-H官能基化ができる。(図1 C)

当然既知、、、

じゃないの!??(゜o゜;;

著者らはこの分子変換に注目、様々な基質を検討し有用な分子変換であることを示している。

図1. (A) リチウムアミドとカルボニル化合物の水素移動 (B) 有機リチウム種のイミンへの求核付加 (C) 無保護環状アミンのα-C-H官能基化

 

著者らはこの分子変換には以下の二点問題が予想されるため、研究されてこなかったと主張している。

1.イミンがリチウムアミドと反応し、リチウムエナミドが生成
2.イミントリマー化が進行

図2. 予想される問題点、(A)アザアリルの生成、(B)イミンの三量化

ただ、結果としては大した工夫もなく反応が進行している。

なぜ今までなかったんだ(゜o゜;!?

教科書にものりそうなこの反応は大変有用で、五員環から十三員環まで、幅広い環状アミンのα-C-H結合を官能基化できる
ジアステレオ選択性も良好な場合が多い。

天然物の(-)-solenopsinもあっさり合成。シンプルかつエレガント!!


図3. 天然物(-)-solenopsinの合成

 

今後、色々な場面で使われる反応になりそうですね!!
全合成でも見かける反応になりそうですし、創薬のスクリーニングとかでも出番あるのかな??

金属触媒とか使ってよくこの手の分子変換されてますけど、灯台下暗しというのでしょうか。
まったくこのような反応が見落とされていたとは、、、有機化学はわからないものですね。(^_^;)

こういった反応に価値を見出す著者らの慧眼も素晴らしいですし、いろいろな基質が試されていて、この反応をこれから使おうとする人に参考になるよい論文ですよね。

またイミン発生法としての再注目もありそうですね。
とりあえずホウ素と金属触媒使って不斉反応とか開発するんでないかなー

今後にも期待。わくわく!

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