シリル保護基 / Silyl protecting groups
四回生で有機系の研究室に配属されると、
そこでまず面を食らうのが略称の嵐。
で、序盤に調べることになるのがシリル保護基だ。
代表的なものを挙げてみよう。
分子サイズが小さい順に並べてみた。
TMS: trimethylsilyl
TES: triethysilyl
TBS(TBDMS): tert-butyldimethylsilyl
TIPS: triisopropylsilyl
TBDPS: tert-butyldiphenylsilyl
図1. シリル保護基。大きさによって外れやすさが異なる。
なにがちがうの?どう使い分けてるの?と、
これらは分子の大きさが異なることで外れやすさが異なる。
イメージとしてはTMSは気をつけないと(意図せずに)
また勝手に外れなくて、
こんな感じで各合成化学者がうまく使い分けている。
他に知っておくべき点
1. 求核触媒機構
シリル保護する時、触媒としてよくDMAPを用いるが、
DMAPが求核攻撃してできるカチオン性中間体にアルコールが求
図2. DMAPによる求核触媒機構
このような求核触媒機構はシリル保護に限らず、エステル化など様々な場面で見るので非常に重要だ。
2. 酸や塩基によるケイ素上置換基の置換メカニズム
酸性と塩基性で微妙にメカニズムが異なるが、
図3. ケイ素の置換反応:五配位中間体を経由する。
炭素の時にあったような三配位のシリルカチオンは相当がんばらないと発生しない。よく見る間違いなので気を付けよう。
3. フッ素による脱保護
フッ素アニオンを塩基としてシリル保護基を脱保護している例がよ
フッ素の塩基性自体はそんなに高くないので他の官能基を壊すこと
図4. フッ素によるシリル保護基の脱保護。選択的に行える。
有機ケイ素化合物はさほど反応性が高くないことが多く、シリルエーテルは保護基として用いられる。
保護基の基本である「つけやすく外しやすい」という性質を持っている。
しかも、はずしやすさの反応性は置換基によって調整が可能だ。
まさに保護基の中の保護基だ!
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