有機化学論文研究所2018年人気記事とおすすめ記事!あと今年の気付きとか来年の抱負とか

コラム

2018年を振り返ろうか

2018年の人気記事とおすすめ記事

どうも、人気記事と入力しようとしたら任期記事に変換されて萎えたもろぴーです。

任期があるっておそろしいですね。この世界では短くない5年任期という立場ですが、一度会社人経験している身としては己の立場の不安定さにがくがくブルブル震えているところです。

10年後私はどうしているのでしょうね。元気でやっているといいのですが。

さて、平成も終わりの年の瀬ということで、今年の人気記事を振り返りましょう!今年はカテゴリごとに一言添えてアクセス数の多い記事を紹介していくよ!!

ただ、人気とこちらのおすすめは必ずしも一致しないわけで・・・(^_^;)

いくつかのおすすめ記事をごり押しします。お正月に是非あわせてお楽しみください☆

 

最新論文紹介部門

人気1位:バーチ還元にアンモニアは不要!!クラウンエーテル+Naによる溶媒和電子の発生


Peng Lei, Yuxuan Ding, Xiaohe Zhang, Adila Adijiang, Hengzhao Li, Yun Ling, and Jie An, Org. Lett. 2018, 20, 3439. より引用。

有機合成化学を知っていれば知っているほど、長くやっていればいるほど、この論文は驚いたのでは??

私はバーチ還元したことないので、「これならやってみてもいいかもなぁ~」くらいの認識であったが、実際にバーチ還元してすごく苦労した経験のある人は「なんで俺の時代になかったんやぁああ!」って泣き叫んだことでしょう。

この論文の驚くべきところは、別に最新のテクニックが登場したわけでもないのに、古典反応の反応条件が見事に改良されてしまったこと。クラウンエーテル入れるだけって。。。1980年くらいにはあってよかったんじゃないでしょうか。

なぜ今までなかったのか??よく考えてみる価値はありそうですね。

記事はこちら

オススメ:世界最長の炭素-炭素結合を目指す話:かさ高くしたり、環で縛ったり、カルボラン使ったり

このトピックは北海道大学大学院 石垣侑祐先生の発表を聞いたときに書こう、と決めていたんです。(実際はAngewのカルボランの論文見て「早く書かんと」と焦るまで、引き出しにおいてしまっていたのですが・・・)

こういうケミストリーに心から興味沸いているのは、私が2018年に成長できた点だと思っている。

記事はこちら

有名反応・試薬・概念 部門

人気一位:ラジカルカチオン・ラジカルアニオン・カチオン・アニオン・ラジカル:それぞれの関係性

ラジカルカチオンという言葉を初めて聞いた人向けの記事。

この記事を書こうと思ったのはアカデミックに戻ることが決まって、「ラジカルカチオンを理解させるテキストが必要だな」と思ったことがきっかけ。教科書でもあんまりでてこないラジカルカチオンであるが、電子移動化学をやるうえで、ラジカルイオン種と他の活性種の位置関係を心の底から叩き込むことは必須だと私は思う(^_^)。

上図のような活性種の関係は頭で理解しても、心に刷り込むのはそこそこの訓練が必要。それを簡単にまとめたものを自分のために書いた。

実際、私が学生に電子移動化学説明する上で、何度かこの記事使った!(^O^)

記事はこちら

オススメ:有機電解反応の利点、魅力、難点。オススメ電極反応論文!

電解の利点・魅力・難点を語った記事。あと好きな有機電解反応の論文も紹介している。

結構他の化学でブイブイ言わしてる人が、自分の前に開発した反応を電気に置き換えた反応を報告しているイメージ。この流れはそれほど長くは続かないと思うけど、有機電気化学の分野で一人とんでもなく未来行っている人がいるよね。

Hai-Chao Xu先生。有機電解反応の大家Kevin Moeller先生の弟子にして、現代の有機電解合成の最先端を走っている。

古い電気化学をよく知ったうえで、新しい有機化学の知見が融合した感じ。ほんますごい。

記事はこちら

コラム部門

人気一位:会社辞めた話と大学教員としてアカデミアに戻る話。

会社からアカデミックへもどる人って、つねに少人数いるみたいですね。何人か同じような経歴の人とお話しすることもありました。

これからもそういう人が出てくるでしょうから、ちょっとした参考になればと思います。

記事はこちら

オススメ:理系の修士や博士の就職活動のポイントを不良社会人が今考える。

今見返しても、あんまり間違ってないと思う。自分をどう位置付けて、どう売り込むか?が大事だよね。

これから就活始まる人も多いと思うので、参考までにどうぞ。

記事はこちら

研究者の研究部門

ついに完結したMacMillan先生の研究!日本の有機化学の研究室で毎年5回以上されているであろうMacMillan先生の雑誌会を駆逐してやろうという企みで始めました。

めっちゃ時間かけて書いたし、どう考えても内容的に弊サイトの中で一番濃い。

さぞアクセスも多かろう・・・ん?・・・

少なっ・・・!!!

David W. C. MacMillan, 第八回:フィードバックできそうな事・戦略編はごく一部の人からは「君のブログで一番良い記事」と言ってもらえてうれしかったんですけどね。。。

まぁ、書くにあたって非常に勉強なったからいいけど!(負け惜しみ)

MacMillan先生の研究まとめはこちらお正月の暇つぶしに読んであげてね☆

女子高生と学ぶ有機化学部門

人気1位:女子高生と学ぶSN1・SN2の違い!立体化学や鏡像異性体について

SN1反応とSN2反応の違いで生じる生成物の立体を解説。あとは立体で生じる性質の違いなんかも説明した。
短いなりに大事なところをさらえたのかなぁ。結構アクセスいただいているようです。

サリドマイドの事件は学部生の時、 辻康之先生が授業中にお話ししてくださったことを元に書いたんだよね。辻先生がまるで自分の失態かのように「化学者の敗北」と悔しそうに仰っていたことがすごく心に残っている。

記事はこちら

今年の気付き

教えるという傲慢

助教という仕事始める前「私は学生に何教えてあげられるんだろう?」と悩んでいたわけだが、この考え自体がよくなかったことに気付いた9ヵ月でした。

助教が「教える」ものなんてなくて、助教にできるのは学生が「勝手に学ぶ」のをアシストできるだけなんですね。

だから、学ぶきっかけを提供したり、ちょっとしたことでも聞きやすい雰囲気みたいなのが大事なんだぁ、ということが分かってきた。

やり方はいろいろ工夫していかないとなぁ。もう少し基本的なところからはじめてもいいかな。

人の成長の早さ

しっかり日々研究している学生はやっぱり、初めの四月とはえらい違いですね。

話の組み立て方が全然違うんですよね。「この実験でこうなったから、これがこうなっていると思う。なので対応策としてこうします。」みたいな。

四月は「わかんない」の一言だったのにね。すばらしいよ・・・ほんとに。

 

2019年の抱負

紆余曲折それぞれありましたが、化学の方もいくらか成果が出ています。とりあえず年会で2件うちの研究室から発表を出しています。(よかったら聞きに来てね☆)

ただ今年は年会で発表までが精一杯で、論文投稿には至らなかった。

完全に俺が悪い。そんな年は今年までにしなくては。

で、2019年の目標は「学生の努力を目に見える形に還元する」というテーマでやっていこうかと思います。

そんな決意を胸に2019年もやってきます!

来年もよろしくね!(^O^)/

 

関連記事
(1) 有機化学論文研究所 2017年の人気記事☆

コメント

タイトルとURLをコピーしました