ヤバイ環化反応・縮環反応
お久しぶりです!(‘ω’)ノ
一週間以上放置しちまったよ~
ちょっと他にやらないといけないことがでてきまして、バタバタしてました。(言い訳)
この辺の事情は四月まとめて説明しましょう!
今日はいくらか溜まった質問箱の質問に答えます!
質問箱にてこんな質問いただきました!!
これまで難しいと思った有機反応はありますか?
ほほーなかなか不思議な質問だね・・・難しいと思った有機反応か~まぁ無限にあるよ!
今日は昔「まじかよ!?」って思った環化反応や縮環反応を挙げてみます!!
Ryan Shenviの分子内ダブルヒドロアミノ化
A Stereoselective Hydroamination Transform to Access Polysubstituted Indolizidines.
Pronin, S. V.; Tabor, M. G.; Jansen, D. J.; Shenvi, R. A.
J. Am. Chem. Soc. 2012, 134, 2012-2015.
図1. shenviの分子内ダブルヒドロアミノ化(論文より引用)
今は非常に有名になったShenvi先生の独立初期の論文。
当時の私はShenviの名前を全く知らなかったわけだけど、論文を読んで「こいつは天才だぁ~!」って思った。有機化学センスが違いすぎる。
ダブルヒドロアミノ化を形式的に行うワンポット反応なんだけど、「収率とか細かいことはいいからさぁ~、こうすれば簡単にできるんだよ!」というメッセージを感じる。
一番感動した論文かもなぁ~。絶対読んでみてほしい。
ただこの論文すごく読みにくいけど・・・(^_^;)
Aggarwalのprostaglandin PGF2α短工程合成
Stereocontrolled organocatalytic synthesis of prostaglandin PGF2α in seven steps
Coulthard, G., Erb, W., Aggarwal, V. K.
Nature, 2012, 489, 278–281
注目すべきは一段階目の反応。
スクシンアルデヒドをプロリンで不斉ダイマー化することでコーリーラクトンに類似した鍵中間体が低収率ながら完璧な立体で得られる。
その後ちょいちょいっと官能基変換してわずか7工程でprostaglandin PGF2αを合成。すごすぎやろ。
図2. prostaglandin PGF2αの短工程合成
これまでの精密な有機合成は何だったのか・・・と思わずにはいられない画期的な成果。
「収率なんて飾りです、凡人にはそれがわからんのですよ」と言わんばかりの新発想。
そうか~これくらい有用な分子変換なら14%でも高収率に感じるんだねぇ。(´-ω-`)
Hartwigのアルコールを起点にした一級C-H結合変換
Catalytic functionalization of unactivated primary C–H bonds directed by an alcohol.
Simmons, E.M.; Hartwig, J.F.
Nature 2012, 483, 70–73.
イリジウム触媒を用いたアルコールを起点とした分子内シリル化。
アルコ―ルをまずシリル化して、その後分子内シリル化する。そして得られた環化生成物を酸化することでγ位の選択的なヒドロキシル化ができる。
この論文を読んだとき「金属触媒ってこんなにすげぇことできるんや・・・」と驚愕した(^_^;)。
図3. アルコールを起点につるつるのC-Hにアルコールを生やす。
で、あと別に驚愕したのが分子内シリル化として論文を書いていないところ。
あくまで水酸基を配向基にしてつるつるC-Hに水酸基を生やす方法として書かれている。
そのためすべての基質で分子内シリル化した後、アルコールまで変換している。(正確にはアルコールをさらにアセチル化して単離している・・・)
これ、すごくない?
普通の化学者なら、分子内シリル化できました!って論文にして、最後に2,3個アルコールに変換できること示して「有用でしょ!?」って言って終わりだと思うんですよねぇ。
でもそれだったらNatureでなくてJACSだったかもな。
ん~とは言え、俺が学生で「論文内の基質はアルコールまで変換しなきゃだめだ!」って言われたらキレてたかもな(^_^;)サイエンティフィックにはあんまり意味ないからな~
なんにせよ、分子変換も無茶苦茶すごいし、論文の仕上げ方も驚異的。かなり印象が強かった論文。
ここまでちゃんと自分のビジョンを論文に反映させるのが一流化学者なんでしょうねぇ。さすがっす。
とりあえず今日はこんなところで!
また別の反応もいつか紹介したいと思います!!
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