熊田・玉尾・コリューカップリング / Kumada-Tamao-Corriu coupling
カップリング反応。
ざっくり言うと金属触媒を用いた、
数多くあるカップリング反応の元祖を決めることは難しいが、
カップリング黎明期の反応とあなどるなかれ、
反応概要
グリニャール試薬と有機ハロゲン化物がニッケル触媒(
図1. 熊田・玉尾・コリューカップリングの典型例
反応機構
1. 有機ハロゲン化合物のニッケル触媒に対する酸化的付加、有機ニッケル種(II)が生成。
2. グリニャール試薬とのトランスメタル化。
3. 還元的脱離、カップリング生成物の生成とニッケル触媒(0)の再生。
図2. 反応機構
この反応の利点
グリニャール試薬と有機ハロゲン化物をくっつけるだけなら触媒と
確かに、
図3. SN2反応:フェニルグリニャールとヨウ化メチルの反応
これはSN2反応と呼ばれる求核置換反応で、
当然この反応に触媒は不要。
ならば熊田玉尾コリューカップリングのどこがすごいんだろう?
1. アリールハライドやアルケニルハライドを反応させる事ができる。
アリールハライドとグリニャール試薬でSN2反応するか?
結論はしない。
理由はSN2反応の機構からあきらかで、
この問題は深刻で、
その問題を打破できるのが熊田・玉尾・コリューカップリングで、図2のようにSN2反応とはまったく異なるメカニズムで簡単にビ
熊田・玉尾・コリューカップリング反応によって、
2. 古典反応との違いは触媒の有無だけ
SN2反応より合成できる化合物が増えても面倒さが増したり、
心配ご無用。
ここがカップリング反応の神がかってるところで、SN2反応との反応条件の大きな違いは触媒の有無だけだ。
グリニャール試薬、有機ハロゲン化合物、触媒、
つまりSN2反応から特に新しいゴミはでないし、
このわずかな手間で今まで作れなかったものが作れる。
触媒の力、おそるべし。
こんなもんかなー
触媒の力で有機合成の可能性を広げてきたカップリング反応。
今となっては鈴木-宮浦カップリング、
カップリング反応黎明期に開発された熊田・玉尾・コリューカップリン
ボロン酸が売ってなくて、
大した加熱も必要なく、簡単に反応が進行する。
こうした反応を日本人が見つけたのですからすごいですよね~(^
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