ラジカルカチオン・ラジカルアニオン・カチオン・アニオン・ラジカル:それぞれの関係性

   

ラジカルイオンって何なんよ!?

ラジカルイオン:なじみの少ない活性種

学生の時、ラジカルカチオン種を経由する反応を開発していた。
学会で発表すると「ラジカルカチオンってラジカルなの?カチオンなの?」みたいな質問がよくあった。

不対電子がある意味ではラジカルだし電荷があるという意味ではカチオンだから、ラジカルカチオンって名前なんだけど、多分質問者の聞きたいことはそういうことではない。大抵ラジカルカチオンの位置づけが不明確でどう捉えたらいいか?という質問だ。なじみ少ないだろうからね、仕方ない。(^_^;)

今回はラジカルカチオンやラジカルアニオンといったラジカルイオン種がどういった位置づけなのか少し考えてみたい。

 

なじみのあるカチオン、アニオン、フリーラジカルから考えよう

炭素カチオン種と炭素アニオン種はそれぞれプラスとマイナスの成分であることが知られている。炭素ラジカルは中性の活性種だ。


図1. 炭素カチオン・炭素ラジカル・炭素アニオン

これら三つは反応機構でも比較的よく出てくる活性種で、教科書で見たことあるようになじみがある人が多いかと思う。
プラス、マイナス、中性の違いはよく認識されているが、意識されてない共通点が一つある。

どれも手が一つ足りない状態になっている。

当たり前だがこのことを今回はあえて強く意識してもらいたい。
炭素カチオン、炭素ラジカル、炭素アニオンは次のように定義できる。

炭素カチオン:手が一つ足りない状態で正電荷を有する炭素種。
炭素ラジカル:手が一つ足りない状態で電荷を持たない炭素種。
炭素アニオン:手が一つ足りない状態で負電荷を有する炭素種。

炭素カチオン、炭素ラジカル、炭素アニオンの違いは電荷のみなので電子を与えたり、奪ったりすることで互いに変換できる。
逆に手の数が違う元の原料には電子の授受だけでは、どう頑張っても戻れない。


図2. カチオン・ラジカル・アニオンの酸化還元

 

ではラジカルイオン種とは?

ラジカルイオン種は手が足りているのに電荷がある活性種と思ってくれればよい。

中性の原料から一つ電子を奪えばラジカルカチオン種が、電子を与えればラジカルアニオン種ということになる。


図3. ラジカルカチオン・ラジカルアニオン

で、慣れていない人にとってなじみにくいのが、結合が変わっていないので分子のどこがラジカルカチオンであるかがわかりにくいということだ。例えばベンゼンのラジカルカチオン種はラジカルカチオン性がπ電子全体に広がっているので、書くとしたらこんな形にしかならない。


図4. ベンゼンのラジカルカチオン

今一つ分かりにくいね(^_^;)

カチオン・アニオン・ラジカルは手が三つになっている炭素のところとはっきりいえるけど、ラジカルイオン種はそれがいえない。しかしながら原料の電子状態によってどの部分にラジカルイオン性がありそうか見積もることは可能である。

例えばラジカルカチオンの場合、中性の原料のHOMOから一電子奪う形になるので原料の電子豊富な位置であった場所でラジカルカチオン性が高くなって求電子的になる。


図5. ラジカルカチオン性の高いところ

原料のときは一番求核的であった部分が、求電子的なる。極性変換の典型だね。(^O^)

 

まとめるとこんな感じ

手が三つか四つかと電荷があるかないかは関係なく独立していて、それぞれに対応した名前であることがわかるだろう。


図6. ラジカルイオン種の位置づけ

いかがだろうか?
慣れてないといまいちつかみどころのないラジカルカチオン種であるが少しイメージがついてくれるとうれしい。(^O^)

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