グリニャール試薬 / Grignard reagent

      2018/02/02

グリニャール試薬 / Grignard reagent

重要な有機金属試薬

学生実験でもお馴染み、有機マグネシウム試薬ことグリニャール試薬。
有機金属試薬の代名詞的存在だが、そのあまりの有用性に1912年、Victor Grignardはノーベル賞を受賞している。

グリニャール試薬を一言で言うと、調製が楽かつ高反応性の炭素アニオン等価体

図1. グリニャール試薬の概略

 

調製方法は極めてシンプル。

ハロゲン化物と金属マグネシウムをエーテル溶媒中で反応させるだけ。
このシンプルさ故、学生実験でもお世話になることが多い。金属がみるみる溶けていく様子は実に興奮する。

 

反応性は炭素アニオン

マグネシウムと炭素は電気陰性度に差があり、極めて炭素に電子が寄っている。
そのため、有機マグネシウム試薬は炭素アニオン等価体として振る舞う。

 

この試薬が有用である三つの理由

1. 幅広い炭素アニオン(求核剤)等価体を調製でき、合成的に有用

炭素アニオン種というとエノラートのような隣に電子求引基をもつものが多いが、グリニャール試薬をはじめとした有機金属試薬はそのような縛りはない。アルキルマグネシウム、アリールマグネシウム、アルケニルマグネシウムなど様々なアニオン等価体を調製し、合成に用いる事ができる。

2. 高い反応性

有機金属試薬はグリニャール試薬以外にも知られている。リチウム試薬または亜鉛試薬と比較してみよう。

反応性の順は
有機リチウム R-Li > 有機マグネシウム R-MgX > 有機亜鉛 R-Zn-R

有機亜鉛試薬は比較的安定で反応性が低く、触媒などのアシストを必要とする事が多い。
一方リチウム試薬と比べるとマグネシウム試薬は比較的マイルド。とはいえ、マグネシウム試薬はだいたいの求電子剤と反応するのに十分な高い反応性を有している

3. 調製の容易さ

アルキル有機リチウム種を調製するためには、空気や水に極めて不安定な金属リチウムを用いる必要がある。グローブボックスで取扱うことも多く、実験は結構しんどい。
一方アルキルマグネシウム試薬は、空気中で秤量しても大丈夫な金属マグネシウムを用いて調製する。

ソコソコ安定なもの二つ混ぜて極めて反応性が高いものが発生する、って結構珍しい。
実験者にはホントありがたい!

また、アリール金属試薬の調製についてはトランスメタル化で発生できる有機リチウム種に有利点があった。
だが比較的最近ノッシェル法というグリニャール試薬をトランスメタル化で発生させる方法が開発され、ますますグリニャール試薬の有用性が増している(参考文献1)。

図2. ノッシェル法:トランスメタル化でグリニャール試薬を発生させる。

ノッシェル法は官能基許容性が広がってすごい!
ノッシェル法はトランスメタル化によって、グリニャール試薬を低温で発生させる事ができる。
その結果、通常の方法では得られないエステルやシアノ基などの求電子性官能基を持ったグリニャール試薬が得られる。
なんて有用!
すげーぜ、ノッシェル。おまえがNo1グリニャール試薬マスターだ、、、!

こんな感じかなー
あとグリニャール試薬の調製実験は楽しいよね。
金属マグネシウムがみるみる溶けていって面白い。好きでした。

注意点としては調製時、かなり発熱する事が挙げられる。
暴走させると溶媒の噴水になっちゃうゾ★

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参考文献
(1) Arkady Krasovskiy, Paul Knochel, Angwe. Chem. Int. Ed. 200443, 3333.

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