マルコフニコフ則を逆転する:有機超強塩基触媒によるオレフィンへのアルコール付加反応

   

有機超強塩基による反マルコフニコフ的エーテル付加反応

Superbase-Catalyzed anti-Markovnikov Alcohol Addition Reactions to Aryl Alkenes

J. Am. Chem. Soc. 2018, just accepted. DOI: 10.1021/jacs.8b00766
Chaosheng Luo, and Jeffrey S Bandar

マルコフニコフ則の呪縛

マルコフニコフ則は有機化学において強烈なルールの一つで、オレフィンへのH-Xの付加反応はカチオンが安定な方にXがくっつくというもの。

例えばスチレンに酸触媒でアルコールを付加しようとすると、ベンジルカチオンが発生するようにプロトンが付加する。そしてカチオンとアルコールが反応するので、ベンジル位にアルコールが導入される。

逆に一級アルキルカチオンは発生が難しいので、β位にアルコールが付加することはない。


図1. スチレン類へのアルコールの付加反応:マルコフニコフ則

もしこのマルコフニコフ則に反したアルコール付加が可能であれば合成上非常に重要な手法となるだろう。

 

スチレンにマイケル付加!??

カチオンの化学はもれなくマルコフニコフ則に縛られるので、アニオンの化学にすればいいと考えたのか。

著者らはスチレンにアルコキサイドをマイケル付加っぽく反応させればよいと考えた。


図2. スチレンにマイケル付加するアプローチ

いやいや(^_^;)、無理やろ・・・

当然スチレンは求電子性が高くないので普通のナトリウム塩基やカリウム塩基ではまったく反応が進行しない。

まぁ、そらそうよな。(^_^;)そんなの無理だって。

「なら、もっとアルコキサイドの反応性上げたらええんや!」と著者らは有機超強塩基を使用。

有機超塩基は非常に立体的に大きいので、発生したアニオン種が裸の状態に近くて反応性がすこぶる高いことが知られている。

その結果、スチレン類のマイケル付加ともいえるアンチマルコフニコフ付加反応を実現。


図3. 有機超塩基によるアルコールの反マルコフニコフ付加

ひょえ~!できるもんやな・・・(゜o゜) でも、どうせニトロ基必須やったりすんねやろ??

基質はやはり電子不足な基質の方が有利ではあるが、ハロゲンがつくだけでも十分に反応が進行する。


図4. ヨウ素だけでも反応するみたい

まじか!?これ!すげぇよ!!

さらに興味深いことにアミンや他のかさ高い水酸基があっても選択的にすいている水酸基が付加することを報告している。


図5. 一級アルコール選択的付加

なるほど!これ!!まじすげぇよ!!

 

雑感

反マルコフニコフ則のかなりシンプルな解答だよね。

そうか~有機超強塩基を使うだけでいいんか~
条件は本当にそれだけ、難しいことは何もない。

試薬も一般的とまでは言えないけど古くから使われてる試薬だしなぁ。

常識に縛られているから今まで見つかっていなかったんだろうねぇ~

いやはや、びっくり反応。有機超塩基面白いね!!

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