女子高生でもわかるSN1・SN2の違い!立体化学や鏡像異性体について

      2018/08/03

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同じ求核置換反応でも反応機構によって生成物の立体が異なる

勇樹 博士課程二年で専門は有機化学。金がなくて家庭教師を始めた。話は脱線しがち
理香 そこそこの進学校に通う女子高校生二年。受験も遠く意識低め。勇樹の授業はできるだけさぼろうと話をそらす。

 求核置換反応の立体

勇樹 前回前々回と求核置換反応の代表例として、ハロゲン化アルキルのSN1反応とSN2反応をそれぞれ説明してきた。
反応機構の違いで、SN2反応は一級ハロゲン化アルキルがよかったり、SN1反応は三級ハロゲン化アルキルがいいかとか変わってくるけど、、

ハロゲンが他のものになるって事は変わらないんですよね?

勇樹 まぁ、それはその通り。
しかし、SN1反応とSN2反応は反応機構が異なるので生成物の立体選択性や反応条件が変わってくる。
でた!立体!!有機化学で一番イミフなところ。
勇樹 高校化学とつながったね!
今日は立体化学について復習しつつ、その立体化学においてSN1反応とSN2反応とで、どう異なるのか見てみたい。

 

鏡像異性体

炭素は4つ手があるけれどその内2つが同じとして、三種類の置換基がついた分子を考えよう。
この分子とこの分子の鏡写しを比較しよう。ひねって回転させれば元の分子と同じになる。


図1. 三種類の置換基を持った炭素の立体化学:アキラル

こういう鏡写しの分子と元の分子が同じである分子をアキラルという。

では今度は四種類の置換基を持つ分子を考えよう。
この分子はどう頑張って動かしても、鏡写しの分子と重ねることができない。


図2. 四種類の置換基を持った炭素の立体化学:キラル

こういった関係を鏡像異性体という。
また鏡像異性体を持つ分子をキラルという。

へー!四つ違うものついてたら鏡写しと同じにならないんですね!!
でも形は同じだけど、そんなに違うんですか?
勇樹 沸点や融点など物理的性質は全く同じ。でも性質が大きく違う事もある。
勇樹 例えば、下のメントールだが左の l 体は清涼感あるハッカの香りがするけれど、右のd体は消毒液のような匂い。
なので香料としてはl体のみのメントールを用いなければならない。
へー!なんか不思議!!
勇樹 他にもサリドマイドといわれるこの化合物は片方が催眠薬として働くんだけど、もう片方は催奇性があって妊婦が服用すると胎児に奇形が生じてしまう。
眠れない妊婦の方に睡眠薬が処方される事も多く、サリドマイドは有名な薬害事件を引き起こしたんだ、、、
片方が薬で片方が毒、、、
勇樹 さらにたちの悪いことにサリドマイドはR体だけ投与しても、ラセミ化といって、生体内でどんどんS体が混じってしまうことが後で分かった。

だから薬だけ投与しても、体の中でどんどん毒ができてくる・・・R体もS体も見た目は同じなのにね。

鏡像異性体は一見同じだけど、別物になり得るって事は覚えておいたほうがいい。

 

 

SN1反応の立体

SN1反応は立体が完全に崩れる。

仮に原料の立体が決まっていたとしても、SN1反応の鍵中間体である炭素カチオン種は平面なので、どちらから反応するかは完全にランダム。結果50対50で立体が混ざってしまう。
こうした鏡像異性体が、半々でまざったものをラセミ体という。


図3. SN1反応の立体化学:ラセミ化

 

SN2反応の立体

SN2反応は脱離基の裏から求核剤が近づくので、立体が反転した生成物が得られる。
SN1反応と異なり立体の情報が残るという利点がある。


図4. SN2反応の立体化学:立体反転

置換反応といっても反応機構の違いで立体が変わったりするんですね!
勇樹 その通り!

あと、反応条件も違ってくるね。

SN1反応はカチオンを発生させるために酸性条件、SN2反応は求核剤の反応をあげるために塩基性条件で反応させることが多い。

ホント全然違うんですね、、
勇樹 わかっていただけたようで!

求核置換反応は割と説明したし、次は芳香族求電子置換反応でもやるか!

えぇー、、、

次回:女子高生でもわかる芳香族求電子置換反応!ニトロ化・ハロゲン化・ジアゾカップリングへ続く

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