光で芳香族求核置換反応

   

Cation Radical Accelerated Nucleophilic Aromatic Substitution via Organic Photoredox Catalysis

J. Am. Chem. Soc. 2017, 139, 16100.
Nicholas E. S. Tay and David A. Nicewicz


要注目研究室のNicewicz研究室

Nicewicz先生はMacMillan研出身で可視光光触媒を取り入れた論文の筆頭著者。

独立後は酸化力が非常に高い福住触媒をいち早く精密有機合成へ応用している。
多分MacMillan研の時からあたためていたんでしょうね。
こういう触媒をいち早く精密合成に引っ張てくるセンスの良さはなんでしょうね?

 

では今回の論文を見てみましょう!!

しばらく前に同様の触媒で芳香族化合物の炭素―水素結合をアゾールと反応させる手法を報告している(参考文献1)。

今回はアニソール類の炭素ー酸素結合が切れたという論文だ。
安定そうなメトキシ基がスパッとほかの官能基になってしまうから驚きだ。

図1. 反応式

反応機構ははっきりしないと述べつつも芳香族化合物を励起された光触媒で一電子酸化し、発生したラジカルカチオンとアゾールが反応し、代わりにメトキシ基が脱離するというものを提唱している。

図2. 反応機構

前の炭素―水素結合変換(参考文献1)と触媒は同じなのになぜ反応位置が変わるのだろう?

最大の理由は今回の反応が窒素雰囲気下で行うことと思われる。

炭素―水素結合の位置に付加して発生するラジカルAは酸化されてはじめて反応が完結する。

今回は酸化するものがないので、ラジカルが生成しても逆反応でもどってしまう。
すると速度論的に生成が遅いが、メトキシの根元に反応するチャンスが回ってきて、ラジカルBが生成し、メトキシの置換反応が選択的に進行するのでだろう。

図3. 位置選択性の説明

んー言うは容易いが、こんなにきれいに反応が変わるもんなんですね。。。

ただよく似た反応形式の反応が結構古くからあるんですよね~
ラジカルカチオンを経由して求核置換させる反応(例えば参考文献2)。

図4. ラジカルカチオンを経由したメトキシ置換。まー あるんだよね

彼らが知ってないとは思えないんですが。。。インヨウ シテナイナー
てか引用している論文が一つを除きすべて2000年以降、、、わりと昔からある化学なんやけどなー、、、(^_^;)

あと、上記の論文でも述べられていますが、SON2反応というチェーンメカニズムが提唱されていて、個人的にはおそらく今回の反応はSON2機構でないかなと思います。

んー反応形式は再発見に近いような気がしますね。
ちょっと新規性を主張しすぎちゃいますかね?(^_^;)

もちろん光触媒で反応開発したり、条件の優秀さは卓越した成果ですよね。
あと、持ち前の合成センスを生かし、テーブルの作り方がうますぎて本当に新鮮に感じますね。。。

福住触媒が市販されていることもあって、精密有機合成に応用する研究室も増えていますが、彼らは自分たちで改良した触媒を作っていてすごいですよね。
今この分野飛び込むならこれらの触媒を作るのは必須でしょう。

 

最近現象が既知でも、ブラッシュアップして価値があることを示すような研究が昔より認められている印象を受けますね。
それって本当に頭よくて、よく勉強してないと無理ですよね(-_-;)。

nicewiczの論文を読んでいるとどんだけ優秀なんだよ、、、とため息が出てしまいます。

ぞの頭脳、少し分けてほしいな~

 

参考文献
(1) Nathan A. Romero, Kaila A. Margrey, Nicholas E. Tay, David A. Nicewicz, Science 2015, 349, 1326.
(2) Francesco Ciminale, Antonella Ciardo, Salvatore Francioso, and Angelo Nacci, J. Org. Chem. 1999, 64, 2459.

 

 

 

 

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