位置選択的に酸化しよう
A Combined Iron/Hydroxytriazole Dual Catalytic System for Site Selective Oxidation Adjacent to Azaheterocycles
J. Am. Chem. Soc. 2018, ASAP. DOI: 10.1021/jacs.7b12864
Julian C Cooper, Chaosheng Luo, Ryohei Kameyama, and Jeffrey F Van Humbeck
酸化反応は星の数ほどあるが
酸化反応は有機化学の重要なジャンルであり、星の数ほど反応が報告されている。いろいろ反応は報告されているが、現在でも難しいと思われる酸化は尽きない。
ここ数年、位置選択的に酸化するのがトレンドだ。
なんでその位置だけで反応するの??と思わずにいられない酸化反応がたまに報告される。今回の反応もそんなアクロバティックな酸化反応のひとつで、なんでもヘテロ環の隣のベンジル位だけを酸化できるようになったらしい。
図1. ヘテロ環のとなりだけ酸化する
え!?そこだけ?
普通のベンジル位は反応しませんよと・・・なんで(^_^;)?
ベンジル位の酸化
ベンジル位の酸化はDDQなどを用いた電子移動反応を利用した反応機構ならば電子豊富な芳香環のベンジル位を酸化することができる。
水素移動触媒を用いた酸化反応も報告されているが普通のベンジル位とヘテロ環のベンジル位を見分けるには至っていない。唯一の例外としてヘテロ環をカチオン性にしておけば、選択的に酸化できることが報告されているが(参考文献1)、できればそういう余計なステップなく選択的に酸化したい。
著者らはルイス酸でヘテロ環を活性化し、水素移動触媒を作用させる事で一発でヘテロ環の隣を選択的に酸化する手法を開発した!
図2. ルイス酸のアシストで選択的に酸化する。論文より引用
驚異的に特異的なコンビネーション
この反応は鉄の二価錯体にトリスピラゾールボレートを配位子を用いることがマスト!
なんなんこのコンビネーション(^_^;)?
電子豊富な芳香環にも電子不足な芳香環も反応せず、ヘテロ環の隣だけ酸化される。。。
すげぇー・・・こんなのがありえるんだね。
図3. ヘテロ環のベンジル位選択的な酸化反応
よく見つけましたね~(^O^)
まぁすごいとしか言うことのないこの論文。ここまで選択的なのは驚愕の一言。
こういった化学は次にどんな展開があるんだろうね。
楽しみです!!
参考文献
(1) Jianming Liu, Xin Zhang, Hong Yi, Chao Liu, Ren Liu, Heng Zhang, Kelei Zhuo, Aiwen Lei, Angew. Chem. Int. Ed. 2015, 54, 1261.
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