還元的アミノ化 / reductive amination:基本と触媒の進化

   

還元的アミノ化 / reductive amination

 

反応概要

ケトンもしくはアルデヒドとアミンからイミン(二級アミンの場合はイミニウム)を発生させ、ヒドリド還元剤と反応させて対応するアルキルアミンを得る。


図1. 還元的アミノ化

 

反応機構

アミンがアンモニアか一級の場合はイミン(下図A)、二級の場合はイミニウムを経由する(下図B)。

・アミンがカルボニル化合物に求核攻撃し水が脱離する事でイミンを発生。(二級アミンの場合はイミニウム)
・イミンもしくはイミニウムにヒドリド還元剤が反応。対応するアミンが得られる。


図2. 還元的アミノ化の反応機構

 

二つのアプローチ

還元的アミノ化は一度イミンを作ってから還元する二段階アプローチと、系中で発生したイミン(イミニウム)を還元剤でトラップする全混ぜアプローチの二種類のアプローチがある。

二段階アプローチ

イミンを一度しっかり合成してからヒドリド還元剤を加え、二段階で反応させるアプローチ。
一番基本となる手法。
イミンの生成は平衡なのでディーンスタークやモレシーで水を系外に追い出す必要がある事が多い。少し操作が煩雑。

全混ぜアプローチ

最初からアミン、カルボニル、還元剤を混ぜておくアプローチ。
二級アミンを用いた時発生するイミニウムがカルボニルより反応性が高い事を利用して選択的に行うものが多い。


図3. 全混ぜアプローチ

この時カルボニルは還元せずイミニウムだけを還元できるようなマイルドなヒドリド還元剤を用いるのがポイント。
このような選択性を持つヒドリド還元剤として、NaBH3CNを用いたものがとして古くから知られているが、Borch反応という名前らしい。
ただ最近ではシアン化物イオンの毒性が嫌われ、同じ目的でNaBH(OAc)3が使われる事もある。

NaBH(OAc)3を使って還元的アミノ化した事あるけど操作がめっちゃ簡単!全部混ぜるだけ。
煩雑な脱水も不要だ。

ただ基質範囲が二段階の方法より若干せまいか。

 

この反応の何が素晴らしいか

1. 原料の入手容易さ

原料の入手の容易さは本当に大事!

アルデヒドもアミンもかなりの種類が市販されている。またヒドリド還元剤も還元力の強さや選択性など様々な試薬が手に入る。

実験室的にはいろんな種類の試薬が市販されていると研究しやすいし、工業的にも有利。

 

2. 二級アミンも楽々合成!

アルキルアミンはアルカロイドなどの天然物や医薬などに見られ、重要な骨格であることは間違いない。

しかしアルキルアミンを狙い通り組み立てるって案外難しい。
例えばあるアミンをハロゲン化アルキルでアルキル化しようとしても、うまくいかないことが多い。アミンはアルキル化されるにつれて求核性が増すので、生成物のアミンの方が原料よりも優先してアルキル化されてしまうからである。


図4. アルキルアミンのアルキル化

三級アミンは立体障害で反応がとまることがあるが、二級アミンをハロゲン化アルキルによるアルキル化で合成する事は難しい。

そんな時に用いるのが還元的アミノ化という事になる。

3. 進化が止まらない

重要な合成法である還元的アミノ化。重要であるがゆえに今なお深く研究されていて進化が止まらない。特に触媒の開発はすごい。

不斉反応も数多く報告されていて、ますます有用性が増している。例えば下の例は秋山・寺田触媒を用いた不斉還元的アミノ化。


図5. 秋山・寺田触媒を用いた不斉還元的アミノ化

報告しているのはMacMillan先生だが、秋山・寺田触媒の威力を示した好例だろう。

試薬会社も便利な試薬を開発しているようだ。例えば最近、関東化学が下のIr触媒を猛プッシュしているね(chem stationさんの記事)。Ir触媒を用いてギ酸を水素源に一級アミンや二級アミンを簡単に合成できるようになっている。触媒活性がちょー高い!


図6. 関東化学のIr触媒を用いた還元的アミノ化

この触媒の活性すごいなぁ~(^o^)

 

古くからあってさらに進化し続ける還元的アミノ化!
有機化学やってるなら一回は仕込みたい反応だ!!

 

参考文献
(1) R. Ian Storer,Diane E. Carrera,Yike Ni, andDavid W. C. MacMillan, J. Am. Chem. Soc.2006128 (1), pp 84–86.

sponsored link

 - 有名反応・試薬・概念 ,

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。