求核的アルミニウムアニオン登場!~ホウ素アニオンに続く典型元素の極性変換~

      2018/07/02

元素の性質をひっくり返す

Synthesis, structure and reaction chemistry of a nucleophilic aluminyl anion

Nature 2018, 557, 92.
Jamie Hicks, Petra Vasko, Jose M. Goicoechea & Simon Aldridge

ヘテロ元素の極性変換:ホウ素の場合

有機化学によく用いられるヘテロ元素は様々な応用があるが、ヘテロ元素自体の役割は大体決まっている。

窒素なら非共有電子対があるので塩基や求核剤として働くことが多いし、ホウ素なら空の軌道を持っているのでルイス酸として働くことが多い、といった具合だ。

元素自身は変わらないからしかたないねぇ~。と思ってしまいそうになるが、反応性が逆転したヘテロ元素を作ってみようという研究者が存在する。

山下先生・野崎先生、Bertrand先生の求核性のあるホウ素試薬はその輝かしい勝利の例だろう。(参考文献1,2)

ホウ素がなんとメチルトリフラートのような求電子剤でアルキル化されたり、プロトンを拾ってきたりする。


図1. ホウ素アニオンの例

有機化学やってるなら初めて見たときは誰もがびっくりするよね。
なせば成るもんだなぁ~(^o^)

 

求核的なアルミニウム

周期表でホウ素の下にあるアルミニウムも同様の分子設計で求核的な活性種が発生できればいいのだが、現実には簡単でないようだ。

求電子剤に対し明確に求核攻撃するアルミニウムのアニオン種は今回の2018年に至るまで報告されてこなかった。

低配位のAl(I)は種々合成されているが求電子剤との反応というより酸化的付加としての反応性を示す。(例えば参考文献3)


図2. アルミニウム(I)への酸化的付加(参考文献3より引用)

これはこれでめっちゃ面白いけどね。アルミのルイス酸性を消せていないからだろう、結局アルミにX-が刺さってしまう。

純粋にアルミニウムのアニオン種を実現することは不可能なのか。。。??

 

ついに登場!!アルミニルアニオン

著者らはキサンテンを骨格とした三座の配位子を持ったアルミニウム錯体Aを合成し、還元することでアルミニウム(I)錯体Bの合成に成功した。


図3. アルミニルアニオンの合成

気になるのがこの錯体Bの反応性。

錯体Bと酸を混ぜるとプロトンを拾い、MeOTfと混ぜるとアルキル化されることが分かった。


図4. アルミニルアニオンの反応性

どう見てもアルミニウムのアニオンです。本当にありがとうございました。

キサンテンの酸素がアルミニウムのルイス酸性をつぶしているのがポイントだろうか。

まじかぁ~できるもんなんだなぁ~(^_^;)

 

酸化的付加もするよ

ついにアルミニウムのアニオンが合成されたわけだが、なんとこの錯体、つるつるのベンゼンが酸化的付加する。


図5. アルミニルアニオンへの酸化的付加

炭素アニオンとして本論文との主旨はずれてしまうようだが、すごく興味深い反応性。

つるつるのベンゼンが典型元素に酸化的付加した例は初めてらしい。

すげぇわ~(゜o゜)

 

所感

最近典型元素の勉強を少しずつしているわけですが、こういうなかったものを生み出す研究は本当におもしろいよね~。
ここから新しい展開がいろいろある事が目に見えるわけだし、やってて楽しそうだ。

ただここに至るまでは並々ならぬ苦労や努力があったんだろうから、結果だけ見て羨ましがってはならないな。

ん~自分もそういう研究ができたらいいんですが。。。
今日の私の進捗ですか? 今日も原料回収!うふふ!おっけー!!ヽ(^o^)丿☆

はぁ・・・次の反応仕込みますかね!

 

参考文献
(1) Segawa, Y.; Yamashita, M.; Nozaki, K. Science 2006, 314, 113.
(2) Kinjo, R.; Donnadieu, B.; Celik, M. A.; Frenking, G.; Bertrand, G. Science 2011, 333, 610.
(3) Terry Chu, Ilia Korobkov, and Georgii I. Nikonov, J. Am. Chem. Soc. 2014, 136, 9195.

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