C-H Alkylation of Methyl Sulfides with Alkenes by a Scandium Catalyst
Yong Luo, Yuanhong Ma, and Zhaomin Hou
J. Am. Chem. Soc. 2018, 140, 114.
スカンジウム触媒で反応開発
ランタノイドは一部の研究者が精力的に研究している。
今回の論文の著者である理研の侯 召民先生もその一人でこれまでランタノイド触媒を用いた反応開発を行ってきている。(参考文献1)
先生が研究されているハーフサンドイッチ型のスカンジウム触媒を用いた反応は、私のような門外漢からすると掴み所がなく難しい。(^_^;)
遷移金属のような、典型金属のような不思議な反応性を示す。
今回の触媒および反応
今回用いているのはスカンジウムのハーフサンドイッチ錯体である。普通のCp配位子だと反応が全くすすまないので、メチル基が5つ生えたCp*配位子を用いる事が重要であるらしい。
んー電子密度上げて基質であるスルフィドの脱プロトン化を促進してるのかなー(´ー`)わからん!
図1. ハーフサンドイッチ スカンジウム触媒:Cp*が重要
この錯体を用いた今回の反応はメチルスルフィド基の炭素-水素結合が切れて、オレフィンが挿入されるというもの。
図2. スルフィドのαC-Hオレフィン挿入 (論文より引用)
原子効率100%の素晴らしい反応だ。
硫黄原子に異なるアルキルがついていても、メチルスルフィド基選択的に反応する。
シンプル&エレガント!!
分子変換の難易度が高いにも関わらず、収率いいし、反応条件も温和。
まじ、すごいね!(°_°)
一方、官能基許容性はそんなに高くないのかな。それほど検討されていない。
触媒に配位とかしたらこの反応の微妙なバランスが崩れるのかもね。
反応機構
・まず錯体Sc-3のジメチルアミノトリル基をトリチルカチオンではたき落とす。
・するとカチオン性スカンジウム錯体Aが得られる。
・Aに対し、基質1のスルフィドが配位し、脱プロトン化でBが生じる。
・Bにオレフィン2が挿入、Cを形成。
・Cは1のプロトンを奪い、生成物を与えると共に、再びBを与える。
図3. 反応機構(論文より引用)
AからBとかCからBで起きる基質1の脱プロトン化は単なる強塩基っぽいのに、BからCのオレフィン挿入は遷移金属っぽいような。なんか不思議に感じる。
よくわからんけど、いろいろちょうどいいんだろうね。( ´ ▽ ` )
かなり絶妙なバランスで成り立っているであろうこの反応。Cが原料のプロトン引き抜いて、Bがまたできるとことか結構絶妙よね。
Cが安定すぎたらそこでサイクルが止まるし、逆に不安定だとオレフィンがまた挿入してポリマー化が起きそう。
すごいなぁ( ´ ▽ ` )
結果はものすごくシンプルでエレガントだけど、この一連のランタノイド触媒による反応開発はいろいろ試行錯誤がきっと大変だったでしょうね。
まじ尊敬
変わった錯体を使って、それでしか成しえない分子変換をするってのはほんとカッコいいよね!
オリジナル感がすごい。
憧れるぜ!!(*゜▽゜)
参考文献1
(1) A recent review: Nishiura, M.; Guo, F.; Hou, Z. Acc. Chem. Res. 2015, 48, 2209.
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