Hydraulically amplified self-healing electrostatic actuators with muscle-like performance
Science 2018, 359, 61.
E. Acome, S. K. Mitchell, T. G. Morrissey, M. B. Emmett, C. Benjamin, M. King, M. Radakovitz, C. Keplinger
人工筋肉を目指すソフトロボット
ロボットというと、全てが金属製の硬いイメージがある。しかしよくできたロボットといえる生物は、骨こそ硬いが動力を生み出す筋肉は柔らかい。
柔らかいのに力を生めるというのはよくよく考えると不思議だ。
こうした柔らかい動力を人工的に作ろう、というのがソフトロボットの一分野である。
ソフトロボットのアプローチの一つに誘電エラストマーアクチュエータと呼ばれるものがある。誘電体のエラストマーの上下に電極を貼り、電場をかけると電極が引き合いエラストマーの形が変わることを利用する。
高い歪みも実現でき、効率も良くなりうるが、高電場をかけると絶縁破壊*によって部分的に壊れてしまう。これは深刻な問題で、電極を大きくすると絶縁破壊の起こる確率が上がるので、アクチュエータのスケールアップが難しい原因になる。
*絶縁破壊 絶縁性の物質も電場を一定以上強くすると電気が流れる現象。身近な例は雷
自己修復静電アクチュエータ
著者らは絶縁破壊が起きても自己修復すればいいじゃん、というアプローチでこの問題を解決している。
エラストマーの中に誘電性のシリコーンオイルを入れる。
その上下に電極を貼りつける。
電場をかけると電極が互いに引き付けられ、液体が押し出され形が大きく変形する。
図1. 自己修復静電アクチュエータの設計 (論文より引用)
例えば上図のようにドーナツ型に設計したアクチュエータに電場をかけると、端が高さ方向に伸びる。
絶縁破壊を自己修復
このとき重要なのは絶縁破壊が起きた時の挙動だ。普通の誘電アクチュエータなら絶縁破壊が起きると、固体なのでダメージが残り、サイクルを経るとダメージが蓄積していく。
今回の自己修復静電アクチュエータは中身が液体なので絶縁破壊が起きても、損傷がすぐ埋められる!その結果、絶縁破壊が起きても修復する!!
図2. 絶縁破壊の自己修復 (論文より引用)
おーシンプルかつ合理的(^○^)!
よりしなやかな筋肉のように
絶縁破壊を自己修復できるようになったのでスケールアップする事が可能になる!
是非動画を見よう!!
ドーナツ型のアクチュエータを適切に配置すれば生卵掴めたり、
図3. 生卵をつかむソフトロボット (論文より引用)
また、伸縮性のある電極を用い、薄く広い形に設計したアクチュエータに電場をかけると電極方向に伸びる。
これを利用すると腕を伸ばしたり、曲げたりできる。
図4. 筋肉のような動きを実現する自己修復静電アクチュエータ (論文より引用)
おーおもろい!
本当に筋肉っぽい(^○^)!!
現状は強力な電場が必要な事が課題らしいけど、アクチュエータ設計の大きな指針になりそう!
ガンダムでなく、ドラえもん開発に繋がるかもしれないソフトロボット。
22世紀までにはなんとか実用化して欲しい。(*´ー`*)
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