バックワルド・ハートウィグ アミノ化 / Buckwald-Hartwig amination

有名反応・試薬・概念

 

反応概要

ハロゲン化アリールとアミンをパラジウム触媒存在下くっつける、というもの
レビューは参考文献1をご覧ください。


図1. バックワルド・ハートウィッグ アミノ化。シンプルで有用

 

反応機構

1. ハロゲン化アリールのパラジウムへの酸化的付加
2. アミンのパラジウムへの配位、アミノ基の酸性度が上がる
3. 塩基による脱プロトン化
4. 還元的脱離。カップリング生成物を与え、パラジウム触媒が再生する。


図2. 反応機構

 

この反応の利点

1. アミンそのものをカップリングパートナーに用いる事ができる
ハロゲン化アリールのカップリングパートナーというと、鈴木・宮浦カップリングではアリールボロン酸、熊田・玉尾・コリューカップリングではグリニャール試薬といったように有機金属試薬を用意しなければならない。(それを不要にしようとしているのがC-H官能基化だ)

アミノ化に関しても、最初はそうで、アミノスズを用いた反応が右田先生より報告されていた。(参考文献2)


図3. 右田先生によるアミノスズを用いたアミノ化反応

しかし、アミノ基は炭素よりはるかに配位力と酸性度が高い。この特徴をうまく利用する事で、バックワルドとハートウィグは上記のように未修飾のアミンと強塩基の組み合わせで同様の反応が起きることを示した。

手に入りやすいものが簡単にくっつく。
素晴らしい!\(^o^)

2. 他の手法では作りにくいアミンが簡単に作れる。

アルキルアニリンの合成には還元的アミノ化という強い対抗馬がいる。
どっちがいいかはケースバイケースだが。


図4. アルキルアニリンの合成。A) 還元的アミノ化による合成。B) パラジウム触媒による合成。どっちがいいかはケースバイケース

一方、トリアリールアミンは有機電子材料に用いられ、その合成法は重要であるが、この骨格を還元的アミノ化で合成することは反応形式的にできない。
バックワルド・ハートウィグ アミノ化なら、アニリンとハロゲン化アリールてジフェニルアミンを合成し、さらにハロゲン化アリールを反応させる事でトリアリールアミンを簡単に作る事ができる。


図5. トリアリールアミンの合成。還元的アミノ化では合成できない。

他にも芳香環に二級アミンを刺す事ができる。
これもバックワルド・ハートウィグ アミノ化のよさがでた分子変換だろう。


図6. 二級アミンの反応。これも他の手法ではめんどくさい。

他の方法では簡単ではない事がシンプルに達成できる。
なんていい反応なんだ!!(^O^)/

 

こんなところか。
この反応を少し検討していたことがあったんだけど、溶媒、配位子、塩基の選択がかなり効いてくる印象がある。
何種かの条件振ったよ~めんどかった\(^o^)/

この反応を実際やるときはかなり入念に文献調査したほうがいいだろうね。

ただ、H NMRで芳香環のケミカルシフトが高磁場に結構ずれて反応が進んだ事が明確にわかって、上手くいったときの快感がものすごい。

そういったカップリング反応の面白さと難しさが詰まってて、なんとなく好きな反応だ。
また機会あれば仕込みたいなぁ( ´ ▽ ` )

関連記事
(1) 女子高生と学ぶ!アミンのルイス塩基性とホウ素のルイス酸性&構造

参考文献
(1) selected review (a) John F. Hartwig, Angew. Chem. Int. Ed. 1998, 37, 2046. (b) Paula Ruiz-Castillo and Stephen L. Buchwald, Chem. Rev. 2016116, 12564.
(2) Kosugi, M.; Kameyama, M.; Migita, T. Chem. Lett. 1983, 927.

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