ジアリールクロロニウム塩が簡単に作れるぞ!!
Diaryl‑λ3‑chloranes: Versatile Synthesis and Unique Reactivity as Aryl Cation Equivalent
J. Am. Chem. Soc. 2019, Article ASAP (DOI: 10.1021/jacs.9b02436)
Misuzu Nakajima, Kazunori Miyamoto, Keiichi Hirano, and Masanobu Uchiyama
マイナー試薬だったジアリールクロロニウム
超原子価ヨウ素試薬はかなりたくさんの種類が売られている。デスマーチン試薬や、トグニ試薬、ジアリールヨードニウム塩など、使ったことのある人も多いだろう。
一方で、超原子価試薬は周期表が上になるほど反応性が高くなることが知られている。つまり、ヨウ素よりも臭素が、臭素よりも塩素の超原子価試薬のほうが、反応性に富む。
ならば、下に示すジアリールクロロニウム試薬に興味がわいてくるところだ。実際にこれまで、ジアリールクロロニウム塩を合成しようとした化学者がいた。
図1. ジアリールクロロニウム塩
しかしながらこのジアリールクロロニウム塩の合成はかなり難しいようで、1955年にNesmeyanov先生が6%の収率で合成した後、1978年、カチオンの神ことOlah先生が収率の改善を試みたが、最高でも17%にしかならなかった。
ジアリールクロロニウム塩が今の超原子価ヨウ素試薬のように使われるには、もっといい合成法が必要だ。
ジアリールクロロニウム塩の効率的合成法
今回の論文の宮本先生、内山先生らは、非常に配位性の低い[B(C6F5)4]−をカウンターアニオンとするメシチルジアゾニウム塩を塩化アリールと反応させることで、目的のジアリールクロロニウム塩が最高99%で得られることを見出した。
図2. ジアリールクロロニウム塩の効率的合成法
なんと!こんな簡単に!!(゜o゜)
BF4−とかだとうまくいかないようなので、カウンターアニオンが超重要な模様。こんな違うもんなんだね~
反応性もジアリールヨードニウム塩と異なる反応性が見えている。詳しくは論文見てね。
所感
実際に超原子価塩素試薬が販売されるかも・・・と思わずにはいられない画期的な成果。
超原子価ヨウ素試薬にはない反応性も、わずかながら見えている。ん~すごいぃ~
にしても、目の付け所がすごいですよね。Olahの時代にはなかなか一般的でなかったであろうカウンターアニオンを使えば、まだまだこういう基本的な活性種も意外な取りこぼしを拾えるのかもしれない。
それにしても作り方簡単だな~
作ってみようかな・・・いや、そのうちTCI様あたりがきっと販売してくれるに違いない!
ヾ(@⌒ー⌒@)ノマッテルーネー
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