Science誌:ナノグラフェン合成はパラジウム触媒で簡単に。縮環ダイマー化

最新論文紹介

時代が要求する反応

Synthesis of partially and fully fused polyaromatics by annulative chlorophenylene dimerization

Science 2018, 359, 435.
Yoshito Koga, Takeshi Kaneda, Yutaro Saito, Kei Murakami, Kenichiro Itami

ナノグラフェン合成の最前線:伊丹研究室

ナノグラフェンを合成する研究がここ何年かブームだ。機能うんぬんは後に回して、まず多環芳香環を効率よく合成できるようにしようというのが一分野だ。

ナノグラフェンの精密合成の分野でトップを走り続ける伊丹先生のグループ。シクロパラフェニレン、ワープドナノグラフェンやカーボンナノベルトなどの合成は記憶に新しい。

そんな伊丹研究室から、新しいナノグラフェン合成法が報告された。

反応概要

クロロターフェニレンに触媒を作用させると環化付加した化合物が得られるよ、というもの。


図1. クロロターフェニレンの環化的ダイマー化、続くScholl 反応

生成物をScholl reactionすると閉環してナノグラフェンが得られる。

おーまじか(^_^;)すげー
最初のカップリングはなんだ!?

でっかいナノグラフェンも3ステップで合成できる!!


図2. ナノグラフェンの三段階合成

ひょえー!!
随分簡単に合成できるんだね(゜o゜)

この反応決めた時、実験者は脳汁やばかったでしょうね(*゚▽゚*)!

 

反応機構どうなってるのか??

シンプルな分子変換だけど反応機構が不思議(^_^;)
触媒はホスフィンが配位子のパラジウムなんやなぁ。

論文でも反応機構をいくつか考えられるものが書いてあるけど、いずれもなかなかチャレンジングな機構だ。詳しくは論文を是非見てほしい。

ただ今日の昼休みに自分としてはしっくりくる機構を考えついた・・・!
せっかくなので書いてみたい。

2018.1.30追記 :書いてた反応機構明らかに実験事実と違ってました。調子乗ってすみません_:(´ཀ`」 ∠):そっかぁ面白い機構やと思ったんやが。。。明らかな間違いを載せていてもミスリーディングなので消しときます。

 

間違った反応機構を提案しちゃいましたけど

やっぱり面白い反応は考えがいがあるよね。
まぁその内反応機構をより詳細に調べた論文も出てくるだろうから楽しみだ。

またナノグラフェン合成法としてもすごいよね。まさに時代の要求に応える反応!!
毎度の事ながら伊丹研の反応はイケてる感がすごい・・・

やっぱり伊丹研からは目が離せない!!!(^o^)

コメント

  1. 匿名 より:

    普通に分子間C-H活性化カップリング→分子内C-H活性化閉環のタンデム反応では?

    • moroP より:

      変な機構を記事にしてすみません、あれは完全に間違いだと思われます。

      論文見ると、単純に分子間C-H活性化カップリング→分子内C-H活性化閉環のタンデム反応はないんじゃね?的な主張でしたが本当のところはどうか・・・

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