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学部のミスマッチのない選び方:それぞれの有機化学の違い

2018/02/10
 
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有機化学はいろんな学部でできるが何が違うだろう?

工学部、薬学部、理学部、農学部・・・1つの大学内でも有機合成の研究室は学部問わず沢山ある気がするのですが、どの学部を選ぶのが良いのでしょうか?

という質問を質問箱よりいただきました。

質問してくれた人はこれから学部を選択する高校生だろうか?大学生だろうか?
大学生で大学院を迷っているなら、学部は気にせず研究内容とこの前書いた研究室の選び方を参考にしてくれたらいいと思います。

今回は質問者が高校生だと仮定して、有機化学したいと現在思っている高校生がどの学部を選べばミスマッチがないのか考えてみたい。

今回の話は非常に主観的になるので参考程度にしてほしい。

それぞれの学部の有機化学

正直な話、各学部の有機化学系の研究室がしていることに明確な差はない。

工学部でも非常に理学よりの基礎的な研究をしているところもあれば、薬学部でも薬になるとは建前のヘンテコ化合物を合成している研究室もある。

ただそれでもやはりぼんやりとした差はある気がする。その印象を私の主観でまとめてみた。

理学部

理学部はどれだけ学術的なことを行うか?が問われるので、基礎的な研究を志向した研究室が多い。有機化学らしい有機化学を研究したいなら理学部に進むことはいい選択に思える。

工学部

工学部はなんでもあり。理学部と同じスタンスで研究している研究室もあれば、工業化するためのプロセス研究もあったり多種多様。有機化学したいけどいまひとつ絞り切れていない人はとりあえず工学部ってのは悪くない。

薬学部

薬学部における有機化学はどうしても薬学と絡んだ話が多くなる。反応開発か有機合成の二択になりやすい。薬学部の有機化学だけを取り出すと、理学部や工学部の有機化学よりバリエーションは少なくなる気がする。ただその分生物や医学分野とのコラボも多く、そういった生化学分野に興味があるなら薬学部だろう。

農学部

農学部は他の学部に比べると有機化学そのものを目的とした研究室が少ない印象がある。有機化学そのものを研究するというより、どちらかというと有機化学をツールとして用い、農学的な研究を展開しているイメージだ。若干応用的なことが多いと思うので、そういったことに興味があるなら農学部はよい選択に思える。

くどいようだが、以上はあくまで私の主観であり、明確な差というのはないということをお忘れなく(^_^;) 少し参考になればいいかな。

 

二番目に興味があることを考える。

上のような説明でどこかの学部にピンときたらそれで決めてしまってもいいと思う。

しかし、多くの場合そこまで確信できないのではないのだろうか??

その場合、次に書くように「あえて有機化学に絞らない戦略」をとってみてはいかがだろうか?

というのも、もちろん高校生で有機化学に興味があって学部を悩んでいることは非常にいいことだと思う。
私は合格最低点が低いという理由で工学部を選んだからね・・・(^_^;;)

しかし、それでも有機化学に絞る必要はまだない。と、私は思う。

理学部に入って物理に目覚めるかもよ?
薬学部に入って生物に目覚めるかもよ?
逆に大学で有機化学に絶望しちゃうかもよ?

高校生のうちはまだそれぞれの学問のことわかんないと思うんだよね。
大学で勉強しているうちに興味がかわるなんてよくある話。

ちなみに私は高校のとき有機化学のテストで学年最低点をとった男ですから。
そんな人間でも、なにかの拍子に有機化学に興味持ったりして博士課程まで進んだんだよね。

そういうこともあるから、今有機化学に興味があるなら、理学部・工学部・薬学部・農学部のどれでもいいと思う。

次にそこから絞るのは二番目に興味がありそうなことで絞れば最悪のミスマッチ状態を避けられるのではないかな。

物理も好きかも・・・と思うなら理学部か工学部だろうし、有機化学のほかに生物にも興味があるなら理学部や薬学部がいいかもしれない。また応用的なことにも興味があるというなら理学部より工学部や農学部がいいかもしれない。

逆に生物興味ないのに薬学部行ったり、農学的なこと興味ないのに農学部行くと、有機化学に絶望した時、やりたいことがなくなって最悪のミスマッチになるよね。

有機化学はちげーわ、と思った時に次に興味持てそうな学部にいると最悪を避けることができる。

二番目で絞りきれないなら三番目に興味があること。。。という風にして学部を決めましょう。

学部を決めるのは重大な選択だけど、今は広く構えて、自分の心変わりが起きても対応できそうな学部に行きましょう!!

そうすればどこにいっても後悔のない研究生活をおくる事は可能だと思います。

 

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