学振DC1・DC2の採択結果は出身研究室で決まってしまうのか?~どう申請書を書く??~

コラム

DC1・DC2採用格差を打ち砕け

学振DC1・DC2の採択率の現状

博士課程に進学する人にとって、最も深刻な問題は「金」だ。

どんなにすばらしいモチベーションがあって、優秀であっても、お金を払えずに博士進学をあきらめた人は多い。これまで何人も見てきた。

そういう人に対する希望の光であるのが、学振のDCというシステムで、博士課程の学生として学びながら毎月20万円が国から支給される。20万円という金額が多いのか、少ないのかは議論のあるところであるが、大きな助けになるのは間違いなく、学振のおかげで研究に打ち込むことができた人は多いだろう。

かくいう私もその一人。本当に助けられた。

ところで、このDCの採択率を皆さんご存知だろうか??

DC1:20.6%
DC2:20.3%

平成30年度はこんな採択率だったそうだ。

つまり、学振のDCは5人に1人しか通らない狭き門ということ。

年間にして240万。博士課程を3年とすると、720万円くらいの補助になるわけだ。DCに採択されなかった場合、この金額がそっくりそのまま借金になると思うと、どう控えめに見ても負担は大きく、金銭面で博士進学をあきらめる人がいるのもうなずける。

さらにtwitterで流れてきた驚くべきデータがこちら


ここ3年で8人以上DC採用者がいる研究室がそこそこあることがわかる。御覧の通り有名研究室ばかりだ。

研究室のHP見てみると、この3年で博士課程進学者が40人以上とかいるわけでもなさそうなので、上記研究室の学生はかなりDCに採択される確率が高いことがうかがえる。

どう考えるか

これまでDC採用者がいない研究室出身の学生は、このデータを見て、「DCは有名研究室が絶対的に有利なんだぁ~」っとなってしまいそうになるだろう。

有名研究室の学生がDC採択率が高いことはいろいろな仮説が考えられる。

・有名研究室は論文いっぱいだす → 申請時に論文を既に何報か出しているので有利
・有名研究室はそもそも優秀な奴が多い
・研究室のネームバリュー・・・

これらはそれぞれいくらか寄与があるのだろう。が、これらは考えても仕方ないので、今更悩むべきではない。

もちろん気持ちはわかるよ。でも、それは役には立たない。ただ悲しみが増すばかり。

今回の記事では、「今まで俺の研究室からDC通った奴なんていねーよ~」という人向けに、どんなモチベーションでDC申請書類を書くべきか考えてみたい。

 

役に立つ仮説

これから自分で改善できる、上記の有名研究室との差はなんだろうか・・・??

私は「DC輩出システムの有無」だと考えている。

なんのこっちゃ?となるだろうから、私の学生時代の研究室の例をとって説明する。

私の学生のとき所属していた研究室は、博士課程進学者が年に一人いるかいないかという程度の研究室であった。進学率は別に高くないけど、進学者のDC採択率は極めて高かった。

これにはいろいろ理由があると思う。ボスが有名。先輩はそもそも優秀。これらの事情は否定できない。

ただ採択率の一番大きな理由は別のところにあると考えている。研究室に以下のようなシステムがあったのだ。

1. スタッフの研究ビジョンがすごい。
2. スタッフの研究ビジョンに沿って、DC申請書を書く。
3. 当然、その申請書は評価される。(だって、そのビジョンで先生がでかい科研費すでにあててんだよ!?)
4. 勝ちパターンDC申請書が研究室に蓄積される。
5. 勝ちパターンDC申請書のフォーマットが出来上がる。
6. 学生はDC通過して、博士進学者も増える。よって研究成果もでる。
7. スタッフの研究ビジョンがさらに前進。1に戻る。

そういう状況の研究室でない人は、「そんなんもう俺無理じゃーん」ってなりそうになるが、ちょっと待ってほしい。

というのも、上記のシステムがある研究室にいる学生のうち、学生の時からこのシステムの恩恵を受けていると意識できている人はそれほど多くない、と私は思うのだ。

私に至っては当時「俺の力ならDC1当たり前だぜ!」なんて調子に乗っていた。実際は上のシステムによる恩恵を受けていただけにもかかわらず。今思うのだが、絶対に勝つつもりなら、もっと先輩のDC申請書を必死に研究して、傾向と対策を練り、完成度高く仕上げるべきだった。(もっとも当時は当時なりに必死だったけどね。しかし、今考えると甘すぎる)

つまり、恩恵は受けていたが、その恩恵をフルに生かせていたかというと、そんなことはなかった。

結果は、運よくDC1に採択されたが、逆に言うと、そこまで必死に申請書書ける人間は多くないのだろう。

ここにチャンスがある。

 

結局どうするべきか

有名研究室の恩恵を十分に活かしきれていないやつはいっぱいいる。

ならば上記のシステムを、自分で模倣することによって追いつけるはずだ。

そのためには以下の2点は必須だろう。

1. 情報格差をなくす

学振に採択される申請書と落とされる申請書をできるだけ集めよう。で、自分なりに傾向と対策を練ろう。勝ちパターンDC申請書のフォーマットがないのなら、自分で作るのだ。

2. 誰よりもスタッフを使い倒す

勝ちパターンが見えたら、それにあわせた研究のプロポーザルをしなければならない。

自分一人でできるなら、それに越したことはないが、きっと難しいに違いない。申請書書くのも初めてだろうしね。

そんながんばるあなたはスタッフを使いに使いましょう。スタッフも学振通ってくれたら超うれしいはずなので、思った以上に協力的なはず。

忙しいそうだから迷惑かけそう、と気を使いがちな人も、「かけた迷惑はあとで返したるわ!」と強気になってください。

たぶん、これが一番大事。というのも、この部分が有名研究室の人にはなかなか真似できないところだから。スタッフが尋常じゃないくらい忙しかったり、有名研究室の学生はたまに変にプライドあったりするからね(私です)。この数少ないアドバンテージになる部分を逃してはならない。

 

なんでこんな記事書いたかというと

もうねー

私の大学で博士進学する人少ないんですよー

めちゃ頭いいし、化学好きな子もいるんですけどねー。数少ない進学者も、どこか学振に対して、いける気がしていないようで・・・そんななかtwitterのあのデータ見せられたら、泣きたくなってきた。

そんなに違うかな?まぁ、いろんな意見があると思うんだけど、僕は採択率ほどの差はないと思うんだよね。

しかし現実には、学振いまいち採択される気がしない人、少なくないよね。そういう人に対し、僕なりに頑張ってほしいと思って書きました。偉そうだったらごめんね。

学生に学振のことで偉そうにする暇あったら、お前がまず科研費とれよ、って話だよね。仰る通り。

頑張りますー!ヽ(^o^)丿

ちなみに、どうしても近くに頼る人がいないなら、僕でよければできる範囲で協力するよ~(もっとも雑魚ですが・・・)

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コメント

  1. そう より:

    参考になる記事ありがとうございます。修士2年の者です。来年度から博士課程です。
    DC1の申請が落ちたので、DC2に申請する予定です。
    私の所属する研究室はできて新しく、DCを通す経験の蓄積はありません…。
    他人の申請書を参考にしたいですが、手に入るものも少ないです。
    もしよろしければ、過去の申請書を見させていただけないでしょうか?
    よろしくお願いいたします。

    • moroP より:

      はじめまして。DC2頑張りましょう。
      できることならお手伝いするといっておきながらなんですが、今手元にない状態です。

      ちょっと古巣に問い合わせてみますね。。。

      あといたずらに申請書拡散するのは避けたいので、公的なメールアドレスから本名と所属つきでメールください。(^O^)/

  2. […] 学振DC1・DC2の採択結果は出身研究室で決まってしまうのか? […]

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