可視光レドックス触媒と酵素の協働による不斉還元:Cyclic Reaction Network

   

可視光レドックス触媒と酵素がコラボする

Enantioselective synthesis of amines by combining photoredox and enzymatic catalysis in a cyclic reaction network

Chem. Sci. 2018, DOI: 10.1039/C8SC01561A
Xingwei Guoa, Yasunori OkamotoORCID logob, Mirjam R. Schreiera, Thomas R. Ward and Oliver S. Wenger

みんな大好き可視光レドックス触媒

ここ10年くらい可視光レドックス触媒の反応開発は非常に盛ん。
もはや誰もが利用している有機化学の基本ツールになったといっても差し支えない。

今回紹介する論文は「可視光レドックス触媒と酵素の協働反応」である。
可視光レドックス触媒と酵素が一体どうやってコラボするのか・・・少なくとも私はぱっと聞いただけでは思いつかない。

そんな中でかなりシンプルなアイデアで可視光レドックス触媒と酵素を組み合わせた不斉反応が報告された。

早速論文を見てみよう!

 

反応概略

・イミンを可視光レドックス触媒で還元する。この時不斉源は何も用いていないので当然ラセミ体のアミンが得られてくる。
ラセミ体のうち、S体のみが酵素によって空気酸化されイミンに戻る。逆にいうとR体のアミンは残る。
・このサイクルを繰り返すと、どんどんR体が蓄積していくので最終的にR体リッチにアミンが得られる。


図1. 可視光レドックス触媒と酵素の協働によるイミンの不斉還元(論文より引用)

なるほど~(^O^)

可視光レドックス触媒による反応自体はラセミでも反対の立体の化合物は原料に戻すというわけね。

この手の望まない立体の生成物をリサイクルする反応をCyclic Reaction Networkというらしい。(参考文献1)
おもしろい原理だね。

反応の挙動も興味深く、コンバージョンとe.e.の経時変化を追うと、初めにコンバージョンが進行し、後からe.e.がどんどん増えていることがわかる。


図2. eeとコンバージョンの経時変化(論文より引用)

ははぁ~面白い現象だねぇ~(*^-^*)

ちなみに興味深い工夫として、可視光レドックス触媒は酵素と組み合わせるために水溶性のものを用いることがポイントなようだ。

 

基質適用範囲

ちゃんと不斉がたまるかどうかは酵素に依存する。
結果は論文を見てほしいが、不斉がきちんとかかる基質の範囲は非常に狭そうだ。


図3. 基質適用範囲

酵素反応のむずかしさを感じるね。

 

雑感

近年の可視光レドックス触媒の隆盛の流れを汲み、酵素と組み合わせようというコンセプト論文。

この分子変換自体は「別に可視光レドックス触媒用いた還元でなくてもいいやん」ってなるけど、それだけでは不斉反応がそんなに得意でない可視光レドックス触媒を不斉反応に応用するアプローチとして、意義深い気がする。

酵素反応も可視光レドックス触媒による反応もいろいろあるもんね。
うまい組み合わせで画期的な分子変換が登場するかもしれない。

これからちょいちょい見かけることが増えてくかもしれませんね(^O^)

 

参考文献
1) Acc. Chem. Res., 2016, 49, 2736

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可視光レドックス光触媒 / visible light photoredox catalysts :Ru錯体とIr錯体

 

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