プメラー転位をグリニャールで

   

Intermolecular Pummerer Coupling with Carbon Nucleophiles in Non-Electrophilic Media

Angew. Chem. Int. Ed. 2017, ASAP. DOI: 10.1002/anie.201709715
Kilian Colas, Raffll Martin-Montero, and Abraham Mendoza

 

形成式的に既存でも
条件をよりよくするだけで反応が見違えるほど素敵に見えるようになる事がある。

クラスのメガネ女子がコンタクトにしてちょー可愛くなるみたいな、あれだ。

きっとそもそも最初から素敵だったんだろうけど今までよさに気づけなかった自分が恥ずかしくなる。

 

今回紹介するのは
グリニャール試薬を求核剤としたプメラー転位。
スルホキシドのα位に様々な炭素官能基を導入できる。


図1. グリニャール試薬を求核剤としたプメラー転位

プメラー転位はスルホキシドからスルホニウムイオンを発生させ、何らかの求核剤を反応させる手法で、求核剤の種類によって硫黄のα位に様々な官能基を導入できる。

ただプメラー転位は多くの場合スルホキシドの酸素を脱離基にしたり、酸性条件で行う事が多いため、酸に弱い有機金属試薬を求核剤として用いられた例はほとんどない

例外として小林先生がすでにこの問題に取り組んでおり、素晴らしい研究成果を挙げられているが、基質に対して4-8等量のグリニャール試薬を用いており、使用量に改善の余地があった。(参考文献1)

恥ずかしながら小林先生の仕事はこの論文を通して知ったのだが、私にはこの時点の反応を見て魅力を十分に見いだすことはできなかっただろう
(-_-)んー、自分見る目がない・・・

 

しかし著者らはこの反応のポテンシャルを見逃さなかった。

グリニャール試薬を求核剤とするプメラー転位の一般性を広げられれば、プメラー転位による炭素炭素結合形成の幅を大きく広げることができる。
著者らは反応条件を改良し、スルホキシドとグリニャール試薬の比が1:1でもうまく反応するようにすることで、反応のよさを最大限に引き出すことにした。

 

副反応で一番問題なのはスルホキシドの二量化。

本反応はグリニャール試薬のマグネシウムがスルホキシドに作用したAから、塩基のアシストでスルホニウムを発生させる。
そのため、ある程度強い塩基は必須である。
一方で強すぎる塩基を加えると、スルホキシドの脱プロトン化によりBのようなアニオン性活性種が生成し、スルホニウムと反応して二量化がおきる。


図2. 反応機構とホモダイマーの副生機構。

この問題を回避するためにはスルホニウムが発生した時、アニオン種Bの濃度が低くなければならない。

著者らは丁度いい強さの塩基をスクリーニング。
その結果、Knochel-Hauser塩基が最適である事を見出した。
この選択は本当に絶妙で、リチウム塩の量もかなり重要。


図3. LiClの量の効果、かなりシビアに効いてくる。2aがほしいもので5aが副生成物のホモダイマー

すごい、、、こんなに微妙な差が効いてくるんだ(^_^;)

さらに、この塩基が良い理由も実験的に考察していて、マグネシウムが配位しているスルホキシドを選択的に脱プロトン化するから、という機構を提案している。

なるほど~~!勉強なります!!

基質範囲は論文を見てほしい。
いい感じ!芳香環、オレフィン、一級・二級・三級アルキルなど様々な炭素官能基を導入できる。
また、スルホキシド側もいろんな基質が使えるみたいだ。

 

ただ大事なのは、今この反応が素敵になったのではなく、そもそもこの反応が前から素敵だったという事。
今回はそれがわかりやすくなったという話。

今回の論文は、条件の改良と現代風のテーブルでうまくお化粧した感じ。
基本的な化学は小林先生のものと同じだ。

 

パイオニア的仕事と刃を研ぐような仕事、どちらも大事な有機反応開発。
この論文はさらなる注目を生むきっかけになるといいですね。
思いもよらない反応が開発されていくかも!?

今後の展開はどうなるんだろう?

グリニャール試薬以外のカップリングパートナーはどこまで増やせるのでしょうか。
ホウ素とかでもできるんかなー!?^o^

 

参考文献
(1) K. Kobayashi, K. Yokota, H. Akamatsu, O. Morikawa, H. Konishi, Bull. Chem. Soc. Jpn.1996, 69 , 441.

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