アレン―プロパギルラジカルの結晶とったで!!

   

Crystalline Monomeric Allenyl/Propargyl Radical

J. Am. Chem. Soc. 2017139,15620.
Max M. Hansmann, Mohand Melaimi, and Guy Bertrand

炭素ラジカル種、
絵にかくのは簡単で、普通の分子に一つ点をつけるだけだ。
しかしこういったラジカル種は通常極めて不安定で大半は一秒も存在できない。
分解したり、自分同士でくっついたり、、、
安定に何日も室温で存在する炭素ラジカルなんて不可能に思える。

それでも長い有機化学の歴史でいくらかの例外は知られており、安定に存在できる炭素ラジカル種がたしかに存在することは知られている。

新たな安定炭素ラジカルを合成することはまさに一つの山の征服。
達成の困難さは険しい未開の山登りを思わせる。
いや、ひょっとすると山登りよりきついかもしれない。

山に頂上が存在することはわかっているが、合成しようとしている炭素ラジカルが存在できるか存在できないかは合成できるまで結局のところわからないのだ。。。
山でなくて永遠に続く坂道かもしれない、、、本論文の著者もこういった恐怖と戦いながら炭素ラジカルを合成していたことだろう。

今回著者らが征服した炭素ラジカルはアレン―プロパギルラジカルである。
驚くべきことに結晶をとってきたらしい。
まじか!

 

では内容を見ていこう!

アレン―プロパギルラジカルは大変不安定なのでまわりにでかい置換基をおいて反応しないようにする必要がある。

著者らは環状アルキルアミノカルベン(CAACs)を用いて立体的にでかいイミニウムを簡単に合成できることをすでに報告している。
本研究でもCAACsを利用。
ラジカルができた時、周りのでかい置換基が反応しそうなところをガードしてくれるという作戦だ。

try1:とりあえず一電子還元してみる

イミニウム3aを還元するとラジカルができることに驚きはない。
問題はそれが壊れずに安定かどうかだ。


図1. try1: フェニル基の根元でダイマー化してしまった。

結果は。。。だめ!!
数時間で自分同士で反応してしまう模様。(個人的意見では数時間の間存在できたことはすごい)

並みの化学者なら数時間安定な炭素ラジカルができました!!と論文にすることだろう。。。
しかし本論文著者らはそんな妥協はしない!!

彼らは残念ながら不安定であったラジカルからできたゴミに注目した。
どうやらラジカル2つがくっついて5aができたみたい。。。

反応しそうな位置をガードしきれていなかたようだ。。。
「もっとガードをでかくするか」

彼らは別のルートをまた一から試していた。

 

try2:さらにでかくした。

著者らはイミニウム3bというさらにガードの大きい分子を合成。さらに反応させないようにする作戦だ。

図2. 巨大な置換基を持つイミニウム

一電子還元してみる。溶液中では数日安定なようだ!

おめでとう!!すばらしい成果だ!

・・・

否、著者らは全然満足していなかった。結晶が取れなかったのだ。

溶液中では安定な4bだが、溶媒を飛ばして固体にすると今度は7bみたいな感じでくっついてしまったらしい。。。


図3. 4b のダイマー化

また別の分子設計しなおすことにした。。。

try3:tBuにおきかえ

著者らはフェニル基をtBu基に置き換えたラジカル4cを合成。


図4. 完全に安定であるが結晶が取れなかったラジカル

今度は溶液で”完全に安定”のようだ!!
が、しかし、、、

著者ら「結晶でねー、やり直すわ笑」

えぇー・・・うそでしょー、、、(^_^;)


try4:トリチル基に置き換え

著者らはtBuをトリチル基に置き換えた基質4dを合成


図5. まさに努力の果て

 

すると結果は、、、

 

 

 

結晶でたーーあーー!!!

 

 

まじですごいですね。

こんな不安定なラジカルの結晶構造がみられるとは。。。
関心通り越してありがたいですね。

ありがたや~

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