なぜ高校有機化学はつまらないのか?
勇樹 | 博士課程二年で専門は有機化学。金がなくて家庭教師を始めた。話は脱線しがち |
理香 |
そこそこの進学校に通う女子高校生二年。受験も遠く意識低め。できるだけさぼろうと話をそらす。 |
高校の有機化学がつまらない
有機化学まじだるいんですけど~ 覚えるばっかで意味わかんないし~~酸化したらうんぬんとかまじ意味不明~ |
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勇樹 | まーそれはそうよな。 高校有機化学は有機化学のミッションがわかりにくいからな~ |
有機化学のミッション?なにそれ?イミフ。そんなんあんの? |
有機化学のミッション
有機化学のミッションの1つに「モノづくり」が挙げられている。。(注:有機合成だけが有機化学の目的ではないが、有機合成が一番わかりやすいと思う)
小さな分子をレゴのように組み立てて複雑な大きい分子を作る。小さな分子をくっつけるのが有機反応というわけだ。
図1. 有機合成の一例:小さな分子をつなげて大きな分子を作る。
こういった小さな分子から大きい分子を有機反応で作ることを有機合成という。
実際に有機合成によって我々の身の周りにある医薬や香料、プラスチックなどが作られている。モノづくりとして有機化学を捉えると有機化学の重要性がよくわかる。
有機合成で大事な反応
有機化学は有機物を扱う学問であり、有機物は炭素が主役である。
有機化学が炭素の化学というのなら、モノづくりの有機合成には炭素と炭素をくっつける反応が間違いなく重要になるだろう!
図2. 炭素と炭素をくっつける反応:有機化学が炭素の学問というなら重要だろう
しかし、炭素と炭素をくっつける方法、実は高校ではほとんど習わないない。
広く浅く抑えるためか、高校の有機化学は炭素と炭素をくっつける反応をほぼカット。
クメン法とかポリマー合成とかでちょろっと出てくるが、突然出てきて原理を理解できるはずもなく、ほとんどの高校生は丸暗記だろう。
まぁ炭素と炭素をくっつける反応は重要なので数も多く、習い出すと高校生の短い時間では足りないから仕方ないんだけど。
高校有機化学で炭素と炭素をくっつける方法をカットした結果
炭素と炭素をくっつける方法がカットされた結果、ほとんどの受験問題で登場する反応は酸化反応みたいに官能基を変えるだけだったり、加水分解など分子を小さくする反応に限られる。
ちょっとだけ変えたり、分子を壊したり、、、
反応以外は分液でどっちにいくかとか、不斉がどうのとか。なかなかそのミッションがわかりにくいところ。
2017年の京大の過去問をちょっと見てみよう。
パッと見、出てくるのはオゾン酸化・水素付加・加水分解・銀鏡反応。炭素と炭素をくっつける反応は出てこない。。。
図3. 京大過去問:パズルかな?
これではモノ作り要素を味わうことは難しいだろう。
もちろん高校有機化学は重要な事やってるんだけど、大抵の高校生は有機化学のミッションが今ひとつわからない中で、反応丸暗記だもんね。
つまらないと思うのは正直仕方ない。
なら、ウチが有機化学勉強しないのも仕方ないと、、、 | |
勇樹 | 大丈夫!有機化学の面白さがわかるように、次は炭素と炭素くっつける反応の説明するから! |
えぇー、、、 |
次回に続く
外部リンク
(1) youtubeで紹介してもらいました! [画策ラジオ] geek WAVE / UMa Radio #4
イラスト
矢野恵様に書いていただきました!
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