購読料の高さに定評のあるエルゼビア
twitter を眺めているとこんなニュースが
ドイツの大学/研究組織のコンソーシアムが、エルゼビアの高騰する購読料とOA化への拒否に対抗して、全大学規模で2017年末に契約を打ち切った件。まさかのエルゼビアがしたてに回って、一時的に無料でアクセスをゆるす胸熱な展開になってる。https://t.co/elT64VkDQu
— くのちゃん (@nokuuun) 2018年1月9日
まじ!?(°_°)
お〜さすが僕らのbeilstein jocを有するドイツ🇩🇪(^o^)
オープン化の波に逆らうものは容赦なく対抗!
集団契約打ち切りときましたか。これは相当思い切ったことをしましたね。
今回の簡単な経緯
エルゼビアの購読料は結構お高いことが知られている。
機関の規模や契約内容にもよるそうですが数千万かかることもあるらしいですよ、、、(^_^;)
(それは安いほうのプランという指摘が、、、すみません私が甘かったです(^_^;)
そんなこともあって、ドイツの大学と研究機関の共同体が、「それぞれが過去に払った半額で2500の雑誌をドイツ人みんなが読めるようにせい」という交渉を出版社(エルゼビア)にもちかけたが、なんの進展もなく決裂したことがきっかけらしい。すると
ドイツ「じゃあ、もう購読みんなでやめたるわ!!」
ってな感じでドイツ研究者が集団購読打ち切り。
すると、エルゼビアから「ちょっと落ち着け!話し合おう!」ってことでとりあえず期間限定でアクセスを許可しているそうな。
ベルリン自由大学の数学者であり、コンソーシアムの交渉チームの一員であるGünterZiegler先生は、「交渉は俺たちのほうが強い、古い契約はごめんだ!」と強気の姿勢。
おお~まじで戦ってるね。(^_^;)
なぜ高い購読料払い続けてきたか
普通のビジネスだったら、客が不当に高いと感じるサービスは一瞬で廃れてしまうだろう。
単純にみんな買わなくなるからね、当たり前。
しかしこの当たり前、論文の購読料には当てはまらない。というのも、インパクトファクターに応じた雑誌に論文を投稿する研究者が一定数いるからである。
研究者の実績はなんだかんだ出した論文のインパクトファクターである程度は判断される。だったら少しでもインパクトファクターの高い雑誌に論文を載せたいのが人情というもの。
ある程度のインパクトファクターがある。
→ それ目当てで論文出す人がいる。
→ みんなチェックせざるを得ない。
→ 高くても購読する。
→ インパクトファクターが維持される。
→ それ目当てで論文出す人がいる。
→ ループ。。。
という感じで高い購読料が維持されてきた。
要はみんな高いと思っていても、読む必然性があったのだ。
エルゼビアは悪くないよなぁ
エルゼビアを単純には非難できない。
エルゼビアは企業で、お金儲けのための仕事だから。
稼いだお金を使って、便利なサービスとかも開発しているだろうし、2500誌にも及ぶ大量の雑誌を管理している。まぁ、大変な仕事も多いかと思う。
実際、過去の知見をしっかり管理してきたのはElsevierで、それに価値があるから今までみんなお金を払ってきたわけだ。
感情的には「過去の化学者の成果独占して、今の化学者から金とりおって!!けしからん!」と言いたくなるが、出版社ってそういうもんだからね。
考えようによってはWillyやACSなどが安すぎるだけなのかもしれない。
価値あるものならば、それを価値に応じた値段で売る、何も間違っていない。
集団購読打ち切りをどう捉えるか
今回のこの事件は「悪者エルゼビアが成敗された」と考えてもあまり進展がない。
ここはひとつ「フリーでない論文は価値が減ってきた」と考えると面白い。
電子ジャーナルが普及して図書館に行くこともなく、デスクでポチポチと論文が見れる時代。
しかし一方で、導入しなければみなと同じように論文を読めないという構造上、購読料の高騰が進んだ。で、悲鳴が各所から出てきてオープンアクセス化推進運動につながる。
このオープンアクセスの論文は「みんなに広く読まれる」という意味では絶対有利なので、多少のインパクトファクターの差ならオープンアクセスを安くできる雑誌を選ぶことが現実的な選択肢になってきた。
Beilstein JOCのように著者すら金がかからないオープンアクセスジャーナルもあるもんね。自然にいけば購読料の高い雑誌は徐々に競争力を失う。当然の流れだ。
論文のネームバリューとかいろんな事情があるので、完全な移行は時間がかかると思うが、非フリー論文の価値下落がついにエルゼビアの論文の価格を下げるような段階にきている。
この流れは加速していく!!と私は思っています(^O^)!
結論
有機化学者はBeilstein JOCに論文出しましょう(^O^)笑
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