Copper(II)-Catalyzed Oxidative Coupling of Anilines, Methyl Arenes,
and TMSN3 via C(sp3/sp2)−H Functionalization and C−N Bond
Formation
Org. Lett. 2017, 19, 6554.
D. Mahesh, V. Satheesh, S. V. Kumar and T. Punniyamurthy
アニリンとトルエン、トリメチルシリルアジドから4つのC-Hと2つのN-Hの切断を伴い、ベンゾイミダゾールを構築する反応が報告された。
図1. アニリン、トルエン、トリメチルシリルアジドからベンゾイミダゾールが一発でできる。
前から好き
インドのPunniyamurthy先生らの報告である。学生時代論文のリファレンスを調べる関係で著者の論文は前に何報かチェックしていた。シンプルかつ意外な分子変換で好きなんですよね。
著者らは以前から様々なアゾール類の合成法を報告していたのだが、今回も一回仕込んでみたくなるようなアゾール合成法を報告した。
反応はシンプルでアニリン、トルエン、トリメチルシリルアジドの三成分を銅触媒とTBHPのコンビネーションで反応させる。
この反応の前身となるものをすでに報告しているが(参考文献1,2)、まさかここまで原料をシンプルにできるとは、、、
アニリンとトルエンからベンゾイミダゾールが一発で合成できるんだ、、、(゜o゜;
収率も最善ではないものの、まずまずでいい感じ。
反応機構も実験的に調べている。
TEMPOでベンジルラジカルをトラップしていてラジカルの関与が示唆される。
図2. TEMPOによるベンジルラジカルのトラップ(論文より引用)
ベンジルアミンやイミンに本反応条件に伏すと同じ生成物が得られる。
反応系のESI MSからベンジルアミン5aとイミン5bを検出。反応中間体としてこれらの化合物を経ていると思われる。
図3. 反応途中で観測された化合物。(論文より引用)
以上のことを確認している。
なかなかきちんと調べていて参考になる!(^O^)
中間体5aや5bからベンゾアゾールが得られるというのは過去に著者らが開発した反応そのもの。なので反応の本質は前と同じだ。(参考文献1,2)
それらの知見から以下のような機構を提案している。
過酸によるベンジル位の引き抜き、さらに酸化してベンジルアミンdの生成。
続いてベンジルアミンdが酸化されて、イミンfが生成する。
f はイミンを配向基にしてアジド基が芳香がささり(g-k)、環をまいてベンゾイミダゾール環が構築する。
図4. 提案された反応機構(論文より引用)
反応機構に関しては、いくつか「そうなの?こうじゃないの?」ってところもあるけど、全然別の反応がいくつも起こって、最終的にそこそこの収率でヘテロ環を構築できていて凄い。
おぉー!えぇ反応!^o^
控えめな主張
言い過ぎやろ、って主張の論文が溢れる近年、Punnimurthy先生らは本当に控えめな主張をされている。
タイトルでもコンセプト的な主張をせずにひたすら分子変換の事実のみを書いている。
そういう硬派なところも好きなんですが、ファンとしてはもう少し欲張ったところ見せてくれてもいいのになぁ、と思ってしまう(´_`)
その一案が本記事のタイトル「三成分三脱水素環化反応」なんですが。
どうでしょ?なんか一気にトップジャーナルの香りがしませんか??笑
今回の論文は著者らが以前開発した反応の延長線上にあるので、上手いこと言ったとして、どこまでいけるかわからないが。。。
しかし、なんにせよポップでキュートでナイスな反応だ(^○^)!
やっぱり好きやわ~
参考文献
(1) D. Mahesh, P. Sadhu and T. Punniyamurthy, J. Org. Chem. 2016, 81, 3227.
(2) D. Mahesh, P. Sadhu and T. Punniyamurthy, J. Org. Chem. 2015, 80, 1644.
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