紳竜の研究:島田紳助のお笑い理論に学ぶ理系のための研究理論

研究者の研究

お笑いから研究を学ぶ

島田紳助:驚異のお笑い理論

島田紳助さんは言わずと知れた大物芸人である。1976年に松本竜介さんと「紳竜」というコンビで活動し、コンビは1985年に解散した。その後はタレントやテレビの司会者として抜群のトーク力で活躍した。

私は世代的に漫才している姿をあまり見てこなかったので、テレビ司会者の印象が強いかな。

しかしながら、島田紳助さんの漫才は画期的であったことが知られている。1970年代当時、比較的ゆっくりなテンポが主流であった。そんな中で島田紳助さんは8ビート漫才といわれる非常にテンポのいい漫才を開発し、一世を風靡した。

そんな漫才師として、司会者として超優秀な島田紳助さんがよしもとの若手芸人にお笑い理論を講演として語っているのがDVD「紳竜の研究」だ。
所詮お笑いでしょ?と侮るなかれ。
笑わせるか、研究かの違いだけでやっていることはまんま研究者と同じだ。

今回は「紳竜の研究」の内容における成功理論をお笑いから研究へ翻訳して紹介したい。

 

成功する公式:XとY

島田紳助さんはいつどんな分野でも成功するには「XとYの公式を確立すること」と言い切っている。

XとYって何?って話だけど

X:自分の能力でできること
Y:時代の流れ

ということになる。

時代の流れで変化する求められるものに対し、自分のできることの中から今するべきことを選択するということだ。
つまり時代の変化に合わせて、自分がやるべきことも変化しなければならない。


図1. 島田紳助流成功の法則

しかしながらXにしてもYにしても捉えることは簡単でない。自覚しないまま適当にやっている人はお笑い・研究関わらず多い。

例えば一発屋と呼ばれる人たちが、なぜ一発で終わってしまうのかを島田紳助さんはこの理屈で明瞭に説明している。
一発屋と呼ばれる人たちは自分のできることXを把握しておらず、Xをある値に固定してしまっているのだ。
なのでたまたま時代が交わるところに来るとそこでブレイクすることがあるが、時代によって求められるのものは変化する。Xを固定したまま売れる状態が続く時間は長くない。


図2. 一発屋のメカニズム

一発屋のメカニズムで一番納得感ある説明だわ(^_^;)

次はどうすればXやYを把握することができるんだろう??

X:自分にできることを把握する

「できないことはできない」と島田紳助さんは言う。

化学風に言えば、自分が反応開発しかしてこなかった場合、すでにいくつかのグループがターゲットにしている複雑化合物の全合成に取り組むのは無謀だ。

もう他に適任がいるわけで、急に参入しても他のグループと競争して勝つのは厳しい。
自分の開発してきた反応が有効そうなターゲットを探したり、そもそも全合成はまだするべきでないのかもしれない。

そしてより自分のできることを知るために、自分の今あるものと他者との違いをまず深く理解する。

島田紳助さんは18の時に自分が面白いと思う他人の漫才を全て紙に書き出したらしい。
すると間の数や落ちるときの文字数がちがったり、といった面白いネタの法則が見つかる。

そういった法則を自分に取り入れられるものと取り入れられないものに分けて、自分のスタイルを磨くと同時に他人との違いを明確にしたらしい。

研究でも一緒で、自分の競争相手を深く知り、一方で自分の研究室のバックグラウンドを強固に把握しておくことで自分が今できることがわかるということね。

18でこのこと意識するって頭よすぎるよね・・・(^_^;)

 

Y:時代の変化

お笑いも研究も流れがあって常に変化する。

自分にできることを把握するだけでは不十分で、この変化を捉えなければ売れることはできない。せいぜい一発屋になるのがおちだ。

この流れを捉えるためにはひたすら歴史を追わねばならない。
何十年か前から現在に至るまでその時々で何が求められていたかを研究する。

島田紳助さんは実際に何十年か前からのその時代売れていた漫才をひたすら見たらしいね。
その流れを把握できれば、一歩先の未来がどう変化するのかが見えてくるとのこと。

研究者風に言うと、何十年か前から今にかけて何が流行ってどう発展してきたか知るってことね。

 

XとYが見えたら

自分のできることと時代の流れを抑えてはじめて自分の今するべきことを考える段階になる。

すごいよね。ふつう何するかぼんやり考えるところからか始めてしまいそうだが。。。

MacMillan先生の研究はこのことをすっごく意識されていると思う。
それを確認して、自分の出来ること考えるためにも研究者の研究で一通りフォローしたんだけど。

本当に島田紳助さんの言っていることは研究と同じ。というより笑いの研究者なんだろうね。

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