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書評:研究者にも聞こえる「革命のファンファーレ」

 
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突然ですがお笑いコンビ、キングコングの西野亮廣さんにここ数年ずっと注目しています。

西野さんのことは漫才で前から知っていたし、好きな漫才師だったんですが、本当に興味を持ったのはここ数年の話で絵本を何万部か売ったと聞いたとき。

知名度だけでそんなに絵本が売れるわけないので、どうなってんだろう?と思ったわけです。

そのトリックを西野さん自ら惜しげもなく紹介してくれているのが本書、「革命のファンファーレ」。

こう紹介すると、一風変わったマーケティングの本のように思えるが、この本のテーマはもっと大きい。

我々が今まさに直面している情報革命
進化する人工知能
昨日当たり前だったものがいつなくなってもおかしくない現代、その中で生き残る為のサバイバル術が絵本作りを通して語られている。

内容については本当面白いので是非読んで欲しい。

これからの時代のお金の捉え方
信用の新しい捉え方
西野さんが絵本を無料公開した理由

なとなど惜しげも無く解説されている。
絶対おもしろいよ!

 

こっからこの本を通して思ったこと

私は化学系の会社で研究者として働いているのだが、この本を読んで突きつけられたことがある。

研究者という職業の寿命はいつ来るのだろう?

ちょっと前まで研究者って絶対になくならない仕事だと思ってた。
考える事ができるのは人間だけと思っていたからだ。
でも考える事もどうやら人間より人口知能の方が優れているようになりつつあるようだ。

コンピュータ将棋においてはニコニコ動画が主催する電王戦にてponanzaというソフトが名人の佐藤天彦さんに2連勝した。

GoogleのalphaGOが囲碁のトップ棋士の李世乭や柯潔を破った事も記憶に新しい。
しかもその時のalphaGOは新型のalphaGOに100戦して一勝もできないほど進歩している。
まさに人を遥かに超えた進化速度。

将棋や囲碁は完全情報ゲームだから研究とは別、と思うかもしれない。

ではこの事例はどうだろう?

カリフォルニア・ソノマ郡では裁判の判決において刑期を決める際、人工知能を重要な判断材料とした。
その結果驚くべきことに再犯率が10%減少した。

明らかにちょっと前まで人間にしかできないと思われていた知的労働が人工知能に置き換わっている。(てか人間の判断よりある尺度では優れている)

知的な仕事の代名詞といってもいい研究だが、まだ大丈夫と決めつけるのは勇気のいる判断だろう。


そんななかで我々研究者はどう生きるべきなんだろう、、、?

おそらくこれから人工知能を使いこなす研究者とそういう変化を嫌う研究者の二極化が起こるだろう。

人工知能を使いこなさない研究者は当然のように使いこなす人に全然ついていけなくなる。
人工知能の進歩していて、その進歩は今も加速している。
人工知能を己から遠ざければ研究の世界で勝てなくなる。

しかし一方で、人工知能を使いこなす研究者というのは研究者なんだろうか?

人工知能の言う事を実験で確かめる、、、それはもう作業に近い。
多くの場合中学生でもできるような事になってしまう。

いずれに進んでも、我々が今思うような「知的な研究者」ではなかなかいられなくなりそうだ。

このジレンマを自ら解決できるずば抜けた一流を除き、それ以下の研究者は不要になる可能性は少なくないと思う。

 

本当にこれから研究者にとって難しい時代が来つつある。

研究だけで生き残ろうというのがもはや無茶なのかもしれない。
新しい事を身軽にはじめられる人間にならなくては。
こんな背景があって私はとりあえずこのブログを初めてみた。

まー趣味なんですが、趣味を必死にとりあえずやってみる事からはじめたわけだ。

しばらく更新頑張ろう〜

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