初めての研究テーマの考え方【学生向け】

学生必修事項

研究テーマを考えよう

そもそも研究とは

修士まで進んだ学生は、ぜひ自分で考えた研究テーマに挑戦してほしいなぁ、っていつも思っています。

先生から与えられたミッションをこなすことも大事ですが、それが研究の全てではありません。ある程度ミッションをこなせる人は、次のステップに進んでもいいと思うのです。

自分で研究テーマを考えるようになると、研究がより面白くなると思いますし、研究の奥深さを実感することができます。(あとテーマ考えてくれる人の苦労がわかるようになります。笑)

しかしながら、「研究テーマを考えろ」なんて突然言っても、無茶ぶりにしかなりませんよね。

今回の記事では、初めての人向けの「研究テーマを考える方法論」を解説します。初心者向けですが、万年初心者の僕は、いつもこの方法で研究テーマ考えています。自分で研究テーマを考えたい人は、きっと参考になるはず・・・!

 

初めてのテーマ設定で重要なこと

初めてのテーマ設定で重要なのは、確実性・最低限の新規性・コストの小ささ、です。それぞれ解説していきましょう。

確実性

初めての研究テーマを設定する人は、「これなら絶対にうまくいくはず!」と思える研究テーマを設定しましょう。

ここで気を付けたいのは、絶対いけると思えるテーマですら、案外うまくいかないんですよね。5個に1個あたれば上々だと思います。それに初心者が「できてもおかしくない」と思う程度の確実性のテーマなら、ほぼほぼ失敗に終わります。そういうテーマに挑むことは悪くありませんが、絶対うまくいくはずのことをこなせるようになってから、挑戦すればいいと思います。

最低限の新規性

研究たるもの新規性がないと話になりません。新規性があるかないかは、よく考えておく必要があります。このあたりは非常によく調べ、勉強する必要があります。時には、論文を読み漁り、時には誰かとディスカッションして、考えた研究テーマに新規性がありそうか判断しなければなりません。

この時、気を付けるのは、ハイインパクトジャーナルを狙うような新規性を求めない方がいいということです。上で述べた確実性を意識すると、どうしてもそこそこの新規性にとどまってしまいがちです。意識の高い人は、ハイレベルな研究でないと嫌だ、と思うかもしれませんが、それは二個目、三個目のテーマでいいんです。最初は無理せず、最低限の新規性の確保を意識しましょう。

コストの低さ

確実性もあり、最低限の新規性があれば十分かというと、そうではありません。

結構見落としがちなことがコストです。ここでいうコストとは、その研究を完成させる、またはあきらめるのに必要な時間・労力ということになります。

例えば、私の専門の反応開発で言うと、原料合成に10工程かかるテーマはコストが重く、買った試薬で検討できるテーマはコストが小さいです。また、5実験以下でそのテーマの成否が判断できればコストが小さいですし、そうした判断に100実験以上も必要ならコストは大きい研究と言えるでしょう。

コストは小さければ小さいほど、同じ時間・労力の中で、沢山の種類の研究テーマに挑戦することができます。結局、一本ヒットを打てばいいゲームにおいて重要なのは打席に立つ回数なのです。

 

以上が、初めてのテーマ設定する人にとって、重要な要素になると思います。

テーマ設定で気を付けること

では、どうすれば、確実・新規・省コストの研究テーマが設定できるでしょうか?そのポイントを列挙します。

研究室の知見を頭に叩き込む

研究室の知見は重要です。研究室の知見を活かした研究テーマを設定すれば、詳しい人も周りに多いでしょうから、適切なアドバイスをもらえるはずです。これを活かさない手はありません。また、修士論文などを読み返すと、未発表データなどがあり、それが研究テーマ設定の大きなヒントになります。

修士論文を一通り目を通すのは、めちゃくちゃおすすめです。確実性と新規性を兼ねそろえた研究テーマ発案の近道です。

研究室の知見をちょっとだけ変えて、新しい価値を生む

研究室の知見を頭に叩き込んだ後は、その一部分だけを変える思考実験を繰り返します。例えば、過去の研究で、化合物Aと化合物Bを、研究室オリジナルの触媒Cで反応させているとしましょう。そこで、触媒Cという研究室のオリジナリティを活かし、反応させる基質に新しく化合物Cに変えれば、新しい研究テーマの誕生です。簡単だね。

これは多くの場合、確実性の高い研究になるでしょう。しかし、多くの場合、新規性がなさ過ぎて研究テーマとしての成立が難しいです。このあたりは教員とディスカッションすると明らかになるでしょう。

それでも、反応させる基質を、化合物Dでは?化合物Eでは?化合物Fでは?・・・・と考えているうちに、「あれ、化合物Rと反応させたら、今までにないコンセプトを持つ分子変換になるのでは?」というものが見つかります。

これは、確実性と最低限の新規性を確保した研究テーマになります。しかも、実験操作も研究室で確立された方法論に沿えるはずなので、コストも小さくなるでしょう。

こんな感じで研究テーマを設定すると、比較的簡単ですよね。

何種類も考える

これで、悪くない研究テーマができました。さぁ、実験だ!!

・・・ちょっと待ちましょう!落ち着いてください。繰り返しになりますが、絶対うまくいくはずと設定した研究テーマであっても、多くの場合はうまくいきません、失敗しちゃいます。それが研究です。

ここで重要なのは、悪くない研究テーマを何種類も考えるということです。

悪くない研究テーマを何種類も考えて、そして、その中で比較し、最もよさそうな研究テーマを選びましょう。そうすることで、より確実性・新規性が高く、省コストな研究に取り組めるはずです。これにより、成功する確率が大幅に高くなると思います。

 

あなたの方法論は?

以上が、私なりの、『初めて研究テーマを考える方法論』になります。

まぁ、いろんなやり方があって、この記事の内容がすべてではありません。しかし、なにか一要素でも参考になれば幸いです。お互い研究テーマを頑張って考えましょう!

ではでは!

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